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介護医療院を開設 地域から選ばれる病院に

介護医療院を開設 地域から選ばれる病院に

医療法人
院長(こもり・けんいち)

1988年帝京大学医学部卒業。
1989年熊本大学代謝内科(現:同大学院生命科学研究部代謝内科学分野)入局。
公立玉名中央病院循環器科診療部長、医療法人栄和会泉川病院副院長、
医療法人悠紀会病院副院長などを経て、2019年から現職。

 今後増加する慢性期の医療・介護ニーズに応えるため、2019年4月に「介護医療院ゆうきの里」を開設した医療法人悠紀会病院。どのような変化が起きているのか、6月に院長に就任し、介護医療院の管理者も務める古森顕一氏に現状を聞いた。

「介護医療院」とは生活の中にある医療

 玉名地区の回復期・慢性期医療施設としての役割を長年担ってきた悠紀会病院。4月に介護療養型医療施設を、個室2部屋、4床室13部屋の介護医療院に転換。「在宅復帰をしたくても、患者さんの中には介護だけでなく日常的に医療が必要な方が多くいます。自宅にも、施設にも戻れない、そのような方を受け入れています」と古森顕一院長。

 介護医療院とは、「日常的な医学管理が必要な重介護者の受け入れ」や「看取(みと)り・ターミナルケア」などの機能と、「生活施設」としての機能を備えた施設。2018年4月に創設され、これまでの介護療養型医療施設は、2024年3月末までに順次転換されることになっている。職員配置や医療提供は従来と変わらないものの、「住まい」としての機能が必要となる。「プライバシー確保のため、多床室の間仕切りにはインテリア性の高い家具を特注。施設全体の照明も温かな電球色に統一しました」

 この介護医療院の誕生に、誰よりも喜んだのは、患者の家族だと古森院長は言う。

 「毎日のように通って来られるようになりました。ベッドの周囲も広く、お隣を気兼ねすることなく話ができるとおっしゃっています。『本当はいつも一緒にいたい。でも家に連れて帰るのは難しい』といったご家族の思いにも応える施設です」

 定員54人のところ、開設以来ほとんど満床が続いている。看護師と介護士が24時間対応し、きめ細かなケアで安心して暮らすことができる。「病気のために生活するのではなく、生活の中に医療がある。それが介護医療院だと思います」

選ばれる病院であるために

 悠紀会病院には急性期病院などから多くの患者が紹介されてくるが、中には自分からこの病院を指定してくる患者もいるという。その理由の一つは、病院の食事だ。

 「1日3回の食事は、冷凍食品は使わず、すべて病院で手作り。だしも一から作りますし、無農薬の野菜なども取り入れています。『おいしい』と感じていただくことは、治療の一環なんです」。転院した時に食事をとろうとしなかった患者が、病院に来たその日から食べることもあった。ただ栄養を体に入れるのではなく、自らかんで食べる。そうすることで、筋肉もつき、回復も早まる。

 「患者さんの嚥下(えんげ)を担当する言語聴覚士は現在4人います。さらに当院には音楽療法士もおり、歌うことで呼吸器の機能の改善を図っています。その人に合ったリハビリテーションを提供することが重要だと思います」

 また職員の接遇の良さも、この病院が多くの患者に選ばれているもう一つの理由だ。「職員が働きやすく、明るく、やりがいのある職場づくりを続けていきます」

地域のニーズに合わせた医療を展開していく

 古森院長は、かつて急性期病院で多忙な日々を送っていた。しかし、今後は回復期や慢性期の病院こそが、もっとこの地域に必要になると語る。「基幹病院である公立玉名中央病院としっかりと情報を共有し、開業医の先生も含めて地域の医療機関と連携し、地域全体でどう医療を展開していくかを考えていく必要があると思います」

 患者が幸せに暮らすためにその地域に必要な施設とは何か、医療とは何か。古森院長の挑戦は始まったばかりだ。

医療法人 悠紀会病院
熊本県玉名市上小田1063 ☎0968―74―1131(代表)
http://www.yukikai.or.jp/

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