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今だからこそ社会に恩返しを

今だからこそ社会に恩返しを

茨城県厚生農業協同組合連合会 総合病院 土浦協同病院
病院長(かわうち・としゆき)

1987年東京医科歯科大学医学部卒業。
諏訪中央病院、東京医科歯科大学医学部講師、総合病院土浦協同病院副院長、
同統轄病院長補佐などを経て、2020年から現職。

 前身となる新治協同病院の開設から100年、現在の病院名に改称して50年の節目となる2020年。6月、病院トップに就任した河内敏行病院長は、病院のかじ取りとともに、新型コロナウイルス感染症で改めて浮き彫りとなった地域医療のあり方にも思いを巡らせる。

病院を一番 安全な場所に

 就任から1カ月が経過した7月末、新型コロナウイルス感染症への対応に忙殺される日々は続いていた。「どうベッドを稼働させて急性期医療と両立させるか、頭を悩ませています」

 38診療科を標榜し、800床を備える土浦協同病院は茨城県で最大規模の基幹病院。3市からなる土浦医療圏の要でもある。新型コロナでは重症患者を受け入れた。「とにかく院内感染させないこと。あそこなら安心と言われるよう鉄壁の防御を目指しています」。毎日20人ほどの救急入院患者全員にPCR検査を実施し、外来患者全員にも問診を続ける。

 新型コロナは、合理化や経済性といった概念をすべて吹き飛ばしたと河内病院長。病院は大きな負担を強いられている。「それでも私たちは、最大限の努力を続けなくては。病院をここまで育ててくれた地域や社会への恩返しと思っています」

つながりを強め役割分担を進めたい

 病院の患者は、医療圏内からが6割弱、4割強は圏外から。「県内の超急性期、急性期をつなぐハブ機能を持つことも当院の役割です」。隣接医療圏とのネットワークをさらに強化したいと話す。

 いわゆるコンビニ受診も含め1次から3次救急まで患者が集中しがちな現状も、地域で分担を進めることで変えていきたい考えだ。

 自身の専門である整形外科では地域連携パス開始から13年がたち、急性期6病院、回復期10病院が参加。推進したいのは、病診連携だと言う。「例えば骨粗しょう症など、開業医までつながるパスを早く充足させたい。先行地域を参考に進めています」

 新型コロナは、地域医療のあり方を見つめ直すきっかけにもなったと話す。「一つの組織だけが生き残ることを考える状況ではありません。病院と地域の先生方が時には我慢し、励まし合いながら、解決策を講じる必要があるでしょう」。今後の新型コロナ対策においては、保健所を中心とした地域医療の再構築に期待する。「今、私たちは試されている。共倒れにならないよう、分業を進めたいと思います」

レジリエンスのあるしなやかな組織に

 「自分は釣り道具屋のせがれ。おやじは店を継ぐものと思っていたようですが…」と若い頃を振り返る河内病院長。「当時はつっぱっていて。共学の商業高校は嫌だと男子校に入学したのが運のツキでしたね」と冗談を飛ばす。大学時代は草野球に熱中。市井の人々と交流を持った。「学内はと言えば多士済々。みんな有能で、自分が正しいと思っている(笑)。私はもっぱら仲裁役でした」

 人を動かすには、まず自分が動くこと―。大学院卒業後、研究室を立ち上げる際、実感したことだ。「おやじの背中じゃないですけど、自分で汗をかくことで道が開けた。見てくれる人はいるものです」。自称、世話好きのおせっかい焼き。加えて、医療安全など即断即決の場数を踏んできた経験が、現在につながっている。

 病院長となった今、新型コロナは働く人の関係性にも変化をもたらしたと感じている。「レジリエンス(しなやかな適応力)が求められる。不平不満があっても、いざとなれば『しょうがないな』と助け合う、そんな組織でいい。目指したいのは、誹謗(ひぼう)中傷のない、能力に応じた働き方ができる病院。ここで働いてよかったと思える職場にしたいですね」


茨城県土浦市おおつ野4ー1ー1 ☎️029ー830ー3711(代表)
http://www.tkgh.jp/

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