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人類愛の精神でコロナ禍を乗り切る

人類愛の精神でコロナ禍を乗り切る


学長(きたがわ・ひろあき)

1980年聖マリアンナ医科大学医学部卒業。米カリフォルニア州ロサンゼルス小児病院、
ニュージーランド・オタゴ大学附属ウェリントン病院、
聖マリアンナ医科大学病院長などを経て、2020年から現職。

 1971年の建学以来、キリスト教的人類愛に基づき、多くの医師を輩出している聖マリアンナ医科大学。北川博昭氏は、新型コロナへの対応に追われながらも、ビジョンを明確に打ち出している。

豪華客船クラスター 病院長として対応

 2020年2月、横浜港に入港した「ダイヤモンド・プリンセス」で大規模なクラスターが発生した。各機関が新たな感染症の対応に苦労する中で、積極的に患者を受け入れたのが聖マリアンナ医科大学病院だ。当時、病院長として陣頭指揮に当たった北川氏は「全員で患者さんを診る」という方向性を打ち出し、病院全体が同じコンセプトでまとまることを重視したという。

 「未知の感染症でしたので、不安を感じている職員を無理に対応させることはできません。幸いなことに全員の意思統一が図られ、迅速に動くことができました。本学には『キリスト教的人類愛』が根づいており、困っている人には自然と手を差し伸べる意識が職員に浸透しています。それが功を奏したと思います」

コロナ禍の教育を模索し続ける

 同年4月、学長に就任した後はコロナ禍における学生への対応に奔走する。「それまでの教育方法を全て変えなければいけなかった」と語るほど大きな転換を強いられる中、リモートと対面授業の配分、実習の進め方などを細かく協議。学生には新型コロナの正しい知識を教育し、適切な感染対策を促すことで、現在は可能な限り最良なカリキュラムを提供している。

 「教育の中で一番重要なのは実習です。例えば解剖実習は神聖なご遺体と接し、敬意を持ちながら勉強する貴重な機会ですが、当然リモートでは難しい。そこで更衣室で密を避ける、マスクを付けるなどの対策を講じ、さまざまな面で工夫しながら、全ての実習を行えるよう取り組んでいます」

 教育カリキュラムで最も重視しているのが「早期体験実習」だ。幼稚園で子どもたちとふれあったり、高齢者施設でケアを現場で体験したりすることで、学生たちは早い段階から多くの経験が得られる。現在は新型コロナの影響で中止せざるを得ない状況だが、2021年度の再開に向けて一歩ずつ動き出している。

 「実習先の各施設に対して、PCR検査で72時間前に陰性であれば学生の受け入れが可能かなど、アンケートを取っています。他のカリキュラムも含め、現状はできないことが山ほどある。だからこそ、できることを探してチャレンジすることが重要だと考えています」

創立50周年に向けて新病院建設プロジェクト進行中

 聖マリアンナ医科大学は2021年に創立50周年を迎え、その記念事業として新病院の建設プロジェクトが進んでいる。2022年には11階建ての入院病棟を開設し、さらに先進的で高度な医療を提供できる体制が整う予定だ。学長として、新病院の姿をどのように見据えているのだろうか。

 「数年前から着手している病院のIT化をさらに加速させたい。例えば患者さんに向けては、スマートフォン一つで受け付け・会計などの予約が完了できるシステムの構築。学生に対しては、最新のバーチャル実習などが行える機器をそろえたいと思っています」

 人材育成に関してもビジョンは明確だ。単に偏差値で選ぶのではなく、「医者になりたい」「困っている人に手を差し伸べたい」と考えて、大学に来た高校生を磨きたいと語る。

 「このような若者は磨けば光ります。ただ、どこを磨けば良いのかをわれわれが見極めなければいけません。多様性のある教育を通して学生の素質を伸ばし、世界に羽ばたく医師を数多く育てたいですね」

聖マリアンナ医科大学
川崎市宮前区菅生2ー16ー1 ☎044ー977ー8111(代表)
https://www.marianna-u.ac.jp/

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