九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

人材確保や組織の見直しで医師の負担を軽減

人材確保や組織の見直しで医師の負担を軽減

本多 正徳 院長(ほんだ・まさのり)
1984年自治医科大学医学部卒業。同放射線医学教室、
栃木県済生会宇都宮病院副院長兼診療部長などを経て、2020年から現職。
自治医科大学臨床教授・同芳賀地域臨床研修センター長兼任。

 年間4000台を超える救急車を受け入れるなど、364床の急性期病院として、医療圏において中心的役割を担っている芳賀赤十字病院。宿直が必要な診療科も多く抱える中で、どのような医師の働き方改革を進めているのだろうか。

―働き方改革の課題は。

 2020年4月に院長として就任し、当初、医師の働き方改革について大きく三つの課題があることに気づきました。 
 
 一つ目の課題は、医師の働き方改革の取り組みがほとんどされていなかったこと。19年にかけて病院の新築移転を行ったため、改革を進めるだけの余裕がなかったというのが事実のようです。二つ目の課題は、医師への周知が不十分であったこと。三つ目は、必要な病院目標や具体的計画が策定されていなかったことです。

 就任直後から働き方改革に対して危機感を強く抱きましたが、「今のうちであればまだ間に合う」と考え、まず事務系の担当者を選任。「医師の働き方改革ワーキンググループ」を立ち上げ、月に1回のペースで検討を開始。21年度に入り、事務部総務課内に「働き方改革推進担当係」を設置し、働き方改革検討の効率的進捗を図れるようにしました。


―具体的な改善策は。

 これまで進めてきた働き方改革推進のうち、特に効果的であったと考えられる内容が三つあります。

 一つ目は特定社会保険労務士との契約です。法的根拠に基づいた就業規則や36協定の見直しに当たり、労務管理に特化した専門家の意見が必要と考えました。特に変形労働時間制への職員の理解が乏しいと感じ、特定社会保険労務士に説明会を行ってもらい、制度理解を図り、20年10月に変形労働環境に係る就業規則の一部改正を行いました。

 二つ目は、医師の負担軽減対策です。医師の事務作業軽減に直接つながる質の高い医師事務作業補助者の確保を推進するため処遇の見直しを行うと共に、医師事務作業補助体制加算の見直しも行いました。また、教育専門施設への働きかけも同時に行い、能力の高い医師事務作業補助者の獲得を目指しました。

 さらに、特定行為研修修了看護師を増やし、医師業務のタスクシフトを積極的に行っています。それに伴う看護師業務の負担軽減対策として看護補助者の増員を行い、夜間100対1急性期看護補助体制加算を取得し、同時にエンゼルケアを含めた他職種への看護業務のタスクシフト、さらに病棟クラーク増員による看護師事務作業負担軽減などを、現在進行形で行っています。

 三つ目として、組織体制の見直しを行いました。医師の働き方改革を行うに当たり医師への周知は重要であり、病院の中長期目標を立てた上で、職能系の組織図変更を行い、新たに事業系の組織図を設け、トップダウン・ボトムアップの意見集約をしやすくし、部門間の連携強化につながる組織体制を目指しました。


ー今後の取り組みについて。


 宿日直体制に対して、労働基準監督署に宿日直許可を認めてもらうために、各医師の1日のタイムスケジュールを細かく確認することから開始。部分的にでも宿直許可を得られないかの検討を行い、まず、産婦人科で宿直許可を得ました。その他の診療科の許可申請も検討していく予定です。

 また、ワークライフバランスの一環でもある院内保育所が未整備だったため、現在、企業主導型保育事業を利用した整備を検討するため、院内保育ワーキンググループを立ち上げ、検討に入りました。

 最終的に医師の勤務を完全2交代制に移行させることが理想ですが、それに見合うだけの医師の人件費を捻出することはたやすいことではありません。まずは救急部門を2交代制とし、各診療科の宿日直許可を組み合わせた体制を整備することを、当院のゴールと考えています。

芳賀赤十字病院
栃木県真岡市中郷271
☎0285―82―2195(代表)
https://www.haga.jrc.or.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる