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人口減少時代を見据え急性期から基幹病院へ

人口減少時代を見据え急性期から基幹病院へ


院長(いけだ・えいと)

1978年京都府立医科大学卒業。
京都第一赤十字病院第一外科、同救命救急センター長、
同副院長、同経営戦略室長などを経て、2017年から現職。

 地域医療の拠点として、高度急性期医療をトータルで担ってきた京都第一赤十字病院。高齢化、人口減少が進む中、地域の医療ニーズが多様化し、病院運営を取り巻く環境は大きく変わりつつある。安定した経営を続けていくための手だてとは。

─病院運営について聞かせてください。

 これまでの「京都府南部最高の高度急性期病院を目指す」という目標から、今後は「京都府最高の高度基幹病院を目指す」に転換していこうと考えています。

 2019年は、手術支援ロボット「ダビンチ」を導入し、循環器内科におけるカテーテルアブレーション治療を開始。さらに、頭頸部や下肢疾患に対する検査・治療を行うバイプレーン型アンギオ装置、リハビリ支援ロボットなども導入したことで、より高度な医療が提供できるようになりました。

 がん診療においては、さらなる充実に向けて、2020年11月に緩和ケア病棟を開設する予定です。総合的ながん医療を提供できる体制を整え、将来は、「がんセンター」化を目指しています。

 さまざまな設備投資の結果、思った以上に支出が増え、収支がやや厳しい状況になってきています。さらに、高齢化と人口減少が進み、急性期病院は新規の入院患者の獲得が難しい状況に。今後は、地域と密接な連携をとり、患者さんをリピーターとして確保していくことが必要になってきています。

 それらを踏まえ、今後は多様な疾患に対応し、地域から頼りにされる〝高度基幹病院〟の役割を担っていきたいと考えています。転院された患者さんが、再び入院が必要になった際に、当院を選んでいただけるような病院像を目指さなければなりません。

─働き方改革の取り組みについて。

 時間外労働を減らすためには、賃金体系を見直す必要があります。時間内に効率良く仕事ができる能力を、正当に評価できるシステムを整えなければ、働き方改革はいびつなものになってしまうでしょう。

 しかし、賃金などのシステムはすぐに改善できるものではありません。そこで、生産性が向上するための取り組みを、まずは実践していくつもりです。
 一つ目は、効率良く仕事ができるよう、単純なことですが机や棚の整理整頓、そして無駄な手順などをなくす業務フローの見直しを行っていきます。二つ目は、クリニカルパスを利用して、治療や業務を〝見える化〟し、チーム医療を促進していきます。

 三つ目は、タスクシフト・タスクシェアの浸透です。人員を増やせない以上、多職種が相互支援しながら、横断的に対応できる体制の整備を、早急に進めているところです。

─今後の展望は。

 志を同じくする病院と医療の質を高めながら協力するのが、私たちの目指す地域連携です。患者情報を共有するために、地域の先生方と一緒にカンファレンスを行い、患者さんの状況を理解した上で、受け入れていただくようお願いしています。

 一つの病院ですべてのことができる時代ではありません。基幹病院を目指す以上、「病気だけではなく、患者さんの一生をみていく」という気持ちが必要です。このようなシステムづくりを今のうちに進めていかなければ、これからの人口減少時代に、生き残っていけないのではないかと危機感を持っています。

 当院は「愛」「誠」「夢」の三つの精神を掲げています。「愛」は優しさ、思いやりや利他の精神、「誠」は正しく公平な医療の遂行や迅速な対応、「夢」は目指す夢を持つこと。効率的な経営だけを考えるのではなく、医療人として大切なこの三つの精神を、心得として持ち続けることが大切だと思います。

京都第一赤十字病院
京都市東山区本町15―749
☎075―561―1121(代表)
http://www.kyoto1-jrc.org/

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