九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

人のつながりこそ豊かさ 医療人の枠を超え、新風を

人のつながりこそ豊かさ 医療人の枠を超え、新風を

社会医療法人 同仁会 耳原総合病院 奥村 伸二 病院長(おくむら・しんじ)
1986年徳島大学医学部卒業、耳原総合病院入職。同副院長などを経て、2011年から現職。

 約70年前、差別と貧困に苦しむ人々の切実な願いと運動によって誕生。大阪民主医療機関連合会加盟の医療機関として、また急性期を担う中核病院として地域と歩んできた耳原総合病院。ホスピタルアートを取り入れた新病院開設から4年、「やせ我慢してでも理想を語り続けたい」と笑う病院長の表情は晴れやかだ。

―四つのミッションとは。

 まず「無差別・平等の医療」。無料・低額診療を行うほか、180室のうち118室ある個室の差額ベッド代が無料です。無料・低額診療に関しては〝人権のアンテナ〟を張りつつアウトリーチを活用し、手遅れになる事例をより減らしたい。自分から病院に来ることができない人にどう手を差し伸べるかが課題です。

 次に「患者負担の少ない医療」。リースで収益を上げたり、無用に高いものを使ったりはしません。病院間の移送には、40台ある無料送迎車を使用。年間の維持費は1億円を下りませんが、これはうちのアイデンティティー、誇りでもあります。

 「安全、安心信頼の医療」は、今年度の重要テーマ。レジリエンスという言葉とともに浸透しつつある「セーフティーⅠからセーフティーⅡへ」の概念を数年前から取り入れています。ごく簡単に言うと、Ⅰは人間のエラーに注目。RCA分析をもとにヒヤリハット報告で再発防止を図るのに対し、Ⅱは人間の臨機応変さに注目し、グッドジョブ報告の事例から安全対策のヒントを得るというもの。

 うまくいった事例を共有しようと、2月には報告会を開催します。発表方法はパワーポイントでも紙芝居でも劇でも何でもアリ。この分野に造詣の深い先生の講演も予定しています。

 「地域とともに歩む専門職の育成」に関しては、地域の人々とのコミュニケーションをもっと深めることが課題。地域包括ケアをどう進めていくか勉強会を続けています。さらにオープン講座として年8回ほど行っているのが異文化コミュニケーションカンファレンス。多様な分野の達人に話を聞く会です。

 6月の旭山動物園の園長の話には本当に感動しました。8月は受刑者の社会復帰支援に携わるNPO法人代表。ほかにも里親制度やPTSDなどテーマはさまざまで、院内での問題提起が活発になるなど、職員の気づきは多いようです。地域の人に病院を知ってもらう機会にもなっていますね。

―差別化の工夫は。

 産婦人科医院が減少する中、「チルドレン&ウィメン・ヘルスケアセンター」を開設。分娩数は増加し、現在は年750件程度で堺市では2位。産婦人科の後期研修医が少しずつ増え最新鋭の内診台も導入しましたので、婦人科救急も積極的に受け入れたいですね。

 小児科には、付き添いなしで入院できるベッドを八つ設置。この医療ケア入院は非常に好評です。

 産婦人科と小児科、そして緩和ケアは混合病棟。別に緩和ケア専門病棟があります。緩和ケアは登録患者さんに何かあればいつでも受け入れる体制です。

 循環器センターは心臓外科医を1人増員。カテーテル治療の件数は伸びていて今のペースでいけば大阪府でも3位以内でしょう。

 救急は24時間365日「断らないER」がモットー。大阪府がん診療拠点病院でもありますので、医療難民、介護難民、がん難民を出さないことが信条です。

 医療機関別係数の機能評価係数Ⅱでは今年、大阪府で7番目。

 新病院建設が相次ぐ堺市は、今後競争がさらに激化するでしょう。地域では再開発計画も進行中です。正念場ですが、なんとかはいつくばって存続して、一番困ったときに頼ってもらえる病院であり続けたい。一部の人が豊かになる社会より、つながりを大事に助け合う社会。その一翼を担いたいですね。

社会医療法人 同仁会 耳原総合病院
大阪府堺市堺区協和町4丁465
☎072―241―0501(代表)
http://www.mimihara.or.jp/sogo/

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