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久留米大学医学部 内科学講座 腎臓内科部門 街ぐるみのCKD対策 未来の透析患者も減らす

久留米大学医学部 内科学講座 腎臓内科部門 街ぐるみのCKD対策  未来の透析患者も減らす

主任教授(ふかみ・けい)
1993年久留米大学医学部卒業。
豪ベイカーIDI心臓・糖尿病研究所留学、
久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門講師、同准教授などを経て、2015年から現職。

 2015年の着任から6年が経過。「これまでは、下地をつくる期間。どう発展させていくのか、今が分岐点です」と、深水圭主任教授は語る。

―力を注いでいることは。

 歴史が古く、多くの開業医、病院長を輩出してきた久留米大学の特徴を生かし、「久留米大学だからできること」を模索してきました。特に力を入れているのが、慢性腎臓病(CKD)の重症化予防。3年ほど前から、久留米近隣の自治体とタッグを組んで取り組んでいます。

 取り組みの一つ目が、「3歳児健診」で採取した尿を活用したハイリスク者の抽出です。

 私たちが実施した動物実験では、妊娠した母ラットが脂肪や塩分、糖分を大量に摂取していると、生まれてきた子ラットの将来の腎機能に悪影響が出ることが明らかになっています。また、食生活などの環境も、腎臓病の進展に影響があることがわかっています。

 そこで、自治体の3歳児健診で採取している尿の中に出ているタンパク質「アルブミン」の量などを確認。腎機能が低下している子どもを洗い出し、母親や、同じ食事を取っていると推察される家族に腎機能が悪化している人がいないか調べ、必要に応じて食事指導や治療につなげていきたいと考えています。

 さらに母親の妊娠中における体重の推移などさまざまなデータを集めて検証し、どのような事象が子どもの腎臓病の進展に影響しているのかといったことも研究していけたらと思っています。

 二つ目が、小学校での「食育」の授業。私たちが学校へ行き、塩分の過剰摂取や喫煙習慣が腎機能悪化につながることなどを、子どもたちに話します。子どもから保護者へ情報を伝えてもらうことで、大人への啓発にもなると考えています。

 三つ目が、学校の校区ごとに開かれる文化祭などへの出展です。ブースで保護者に対する血圧や血糖、尿タンパクの測定やアンケート調査を実施。職場の健診がなく、特定健診の対象でもない40歳未満、例えば自営業や専業主婦の方で、腎機能に異常が出そうな方を見つけるのが狙いです。

 腎機能は悪化すると改善が難しく、早期に予備群を発見し、医療が介入することが重要です。透析患者を減らすことは医療経済への貢献にもなります。地域を巻き込む仕掛けで、未来の透析患者を減らしていけたらと考えています。

―地域だけでなく、世界も視野に入れていますね。

 久留米大学は、医学部を有する私立大学では日本の最南端に位置し、アジアが近い。そこで、アジア各国への医療提供、技術提供、教育などを進めていくことを目指しています。

 世界をリードする日本の透析医療は、機器の性能が良く、医師、、臨床工学技士の知識・技術も高い。患者教育の成果もあって、透析導入後の死亡率は、他国と比較して低く抑えられています。

 この透析の技術や教育方法をインドネシアなどアジアの国々に「輸出」できないか。そう考えて動き出した時期に、新型コロナウイルス感染症が世界に広がりました。今はウェブ会議システムなどを活用した教育プログラムの作成などできることを進め、将来的には実際に人を派遣することも検討したいと考えています。

―教室の特徴を。

 若い医師が多く、女性が半数以上。高い医療の技術を追究し研さんを積むのは当然のことながら、その前提である人間性が良い人ばかりなのが一番の特徴です。

 患者さん相手でも、教室の仲間に対しても、その人の気持ちをしっかりとくみ取り、対応する医師ばかりで、私も学ぶことが多いと感じています。医師の働き方改革、新専門医制度など、変化と難しい判断を迫られる場面も増えていますが、これからも患者さんを大事に、「世界一温かい教室」を目指して頑張っていきたいですね。

久留米大学医学部 内科学講座 腎臓内科部門
福岡県久留米市旭町67 ☎0942―35―3311(代表)
https://jin-jin.jp/

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