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中堅・若手ペアで派遣 「2人体制」復活に挑む

中堅・若手ペアで派遣  「2人体制」復活に挑む

宮崎大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学分野
天野 正宏 教授(あまの・まさひろ)

1986年宮崎医科大学(現:宮崎大学)医学部卒業。
、同県立延岡病院皮膚科医長、米マイアミ大学留学、
宮崎大学医学部皮膚科准教授などを経て、2015年から現職。

 中堅と若手の2人を組み合わせて常勤医として宮崎県内の県立病院に派遣する方式で宮崎の皮膚科診療の中核を担ってきたが、現在は中堅医師不足で一部での運用にとどまっている。天野正宏教授が思い描く「2人体制」完全復活に向けた道筋とは─。

─医局の現状は。

 新入局員が5年間で12人入ってくれた半面、中堅の医師が開業などで抜けました。そのため、県立の宮崎病院と延岡病院に各2人を常勤派遣していたのが、2018年からは延岡の2人を週2回の非常勤に切り替えざるを得ませんでした。

 「2人体制」は、宮崎大学の皮膚科が出向先の病院に対して開講以来続けていたシステムです。専門医の中堅と5〜6年目の若手に組んでもらうもので、メリットは二つ。まず中等症以上の患者を診療できます。1人医長だと重症者の診療は限られますが、2人なら分担して診療に当たることができます。もう一つは上に立つ中堅医師が教育できる場となること。教える側も勉強が必要なので互いに切磋琢磨できるのです。

 このほか県立日南病院は先代・瀬戸山充教授の時代から非常勤となり週2回派遣しています。日南病院と延岡病院の2人体制を私の代で復活させることが目標であり夢でもあります。

─復活への道筋は。

 順調に推移すれば、今後、若手医師が専門医になる見通しです。重症者への対応ができ、アトピー性皮膚炎や白癬のような一般的な疾患にも対応が可能な中堅医師が育てば、2病院の常勤医を復活できると考えています。

 ただ、2人体制は理想ですが、医局のマンパワーの関係ですぐ実現するのは困難です。まず2病院とも1人医長から復活させることで、地域の患者さんにとって心強い存在となっていきたいです。

 そのためには教育も重要で、若い医師には必ず教授診察に同席してもらっています。重症患者の外来初診でどのような診察、検査をするかや、戻ってきた病理検査の結果で診断がついた後にはどのような治療をするかを実際に近くで見て明確に流れを学ぶことができます。

 また、当講座は女性医師が多いのも特徴です。結婚や出産などのライフイベントを機に休むと復職しづらい場合もありますが、先代の時代から働きやすい環境が整っていました。復職直後は重症患者を割り当てず午前9時〜午後5時の勤務で外来を主体とし、2、3年経過したら通常診療に戻る流れで、実際に3、4人が1年前後の産休を経て復職しています。

─人材面での展望と取り組んでいる研究は。

 2人体制の復活を目指しつつ、県内の皮膚がん診療を担える人材を育てていきます。専門医が認定施設で2年研修を積むと「皮膚悪性腫瘍指導専門医」の受験資格が得られます。認定までには皮膚がんの手術症例数はもちろん、抗がん剤治療や皮膚リンパ腫などの症例経験も必要で受験までのハードルが高く、全国に約90人しかいません。当講座では私と持田耕介助教が取得しているのでさらに指導専門医を増やし、皮膚がんの拠点病院として機能を強めたいです。

 研究に関しては、地域に根差した疾患を対象にしています。宮崎を含めた南九州はHTLV―1(ヒトT細胞白血病ウイルス)キャリアの多い地域で、60〜70年の潜伏期間を経てATLL(成人T細胞白血病リンパ腫)を発症する患者さんがいます。 

 そのため、「皮膚病変を有するATLLの皮膚浸潤部位からの遺伝子解析と、予後との関連性の解明」が初代教授の井上勝平氏時代からのテーマで、現在は皮膚浸潤から急性転化に関連する遺伝子解析を進めています。この難問に立ち向かって、その成果を宮崎から世界に発信したいと考えています。

宮崎大学医学部感覚運動医学講座 皮膚科学分野
宮崎市清武町木原5200 ☎0985―85―1510(代表)
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/derma/

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