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世界と地域をしっかりと見据える

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病院長(ごとう・たかひさ)

1987年東京大学医学部卒業。
米マサチューセッツ総合病院麻酔科レジデント、帝京大学医学部麻酔科学教授、
横浜市立大学附属市民総合医療センター病院長などを経て、2020年から現職。
横浜市立大学大学院医学研究科麻酔科学教授兼任。

 東京大学医学部卒業。多くの同級生が出身大学に残る中、帝京大学医学部附属市原病院(現:ちば総合医療センター)麻酔科の門をたたいた。横浜市立大学教授としても多くの改革を実現してきた行動力の人。病院長となった今、考えていることは。

みんなにメリットある働き方改革を

 4月に就任。直後から、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う、院内感染防止のための対応や調整に当たる日々を送ってきた。

 「着任後、新型コロナ以外をテーマに診療部長を集めた会議ができたのは、6月に入ってから。落ち着いて今後の話ができるのは、これからといったところです」と語る。 

 病院運営の直近の課題として迫っているのが「医師の働き方改革」だ。2024年度から、新たな時間外労働上限規制が適用になる。

 「一般的に、大学の医師は長時間労働をしている人が多い。ただ、自己研鑽(さん)と労働との境目が難しいのが現状です。まずは、何の業務にどのぐらいの時間を使っているのか、可視化することから始め、どの部分を省き、どこに力を入れるかの検討は、その後だと思っています」

 医師の労働時間短縮の方法として、厚労省による研究会などでも議論が進む「タスクシフト」の採用も視野に入れる。

 「医師、看護師、薬剤師など職種によってアイデンティティーが異なります。それぞれが大事にしているケア、医療を実現するために、その業務を誰が担当するのが最も良いのか。その観点でタスクシフトを考えていきたい」

 そう考える背景には、麻酔科学教授として大学院医学研究科看護学専攻の「周麻酔期看護学分野」立ち上げに関わり、麻酔科看護師を養成してきた経験がある。

 「看護師が医師の指示のもとで麻酔業務を行う、まさにタスクシフト。でも、単に業務が移っただけでなく、看護の視点が加わることで麻酔の質が改善される一方、看護師側も、患者の状態を評価する力、鎮痛薬・鎮静薬に関する知識、人工呼吸管理技術などが向上し、キャリアアップにもつながるという声を聞いています」

 タスクシフトによって医師の時間外労働が減るだけでなく、患者や、業務を移管された職種にとってもメリットがある。そんな「三方よし」を目指したいと考えている。

地域住民と国民の健康に資する

 「神奈川県内、さらには関東エリアで、超高齢社会を支える医療提供体制をどうつくり上げていくのか。これからは、大学も当事者意識を持って知恵を出していかなければならない」と強調する。

 着任からしばらくたち、区内の消防署に出向いて、情報交換をした。

 「私が横浜市立大学に赴任した10年余り前は、附属病院に救急部さえありませんでした。しかし、今、当院は区内で2番目に多い数の救急患者を受け入れている。地域の病院の医師不足、医師の高齢化、さらには働き方改革の流れの中で、医師数が多く、若い医師の割合も高い大学が、頼られる場面はこれからも増えてくるのでしょう」

 行政、医師会などと連携し、高齢化が進む地域での医療提供体制、新たな仕組みの構築といった研究も進めていけたら、との構想も描いている。

 同時に、特定機能病院として求められている高度医療、さらには治療法や検査機器の開発にも、これまで以上に力を注ぐ。

 「『開発』は、医療を産業として強くするという意味でも大事な部分です。国産の薬や検査キット、検査機器で、輸入に頼らず国民の健康に資する。さらにはそれを世界に輸出していく。そういった研究もパワフルに進めていきたいですね」

横浜市立大学附属病院
横浜市金沢区福浦3-9 ☎️045-787-2800(代表)
https://www.yokohama-cu.ac.jp/fukuhp/

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