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不安を除き、心を支え脱毛治療に力を注ぐ

不安を除き、心を支え脱毛治療に力を注ぐ

徳島大学大学院医歯薬学研究部 皮膚科学分野
教授(くぼ・よしあき)

1988年徳島大学医学部卒業。
財団法人癌研究会癌研究所(現:公益財団法人がん研究会がん研究所)実験病理部、
米スタンフォード大学医学部皮膚科学講座などを経て、
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部(現:医歯薬学研究部皮膚科学分野)准教授などを経て、
2011年から現職。

 1948年に開設され、県内だけでなく四国各県に医師を派遣する役割を長年担う。診療面では「脱毛外来」「AGA外来」と脱毛を主とした二つの外来を有するのが特徴の一つ。久保宜明教授は、脱毛患者の気持ちにも寄り添いながら治療に当たる。

―脱毛専門の外来を設けていますね。

 先々代、先代の教授から引き継いで、脱毛の治療に取り組んでいます。大学病院で、脱毛やAGA(男性型脱毛症)を対象とする専門の外来があるところはそれほど多くないようです。四国エリアはもちろん、関西など少し離れた地域から患者さんがお越しになるケースもあります。

 「脱毛外来」では「円形脱毛症」を多く扱っています。円形脱毛症には基本的に頭髪が丸く抜ける「通常型」や、髪だけでなく眉や全身の毛まで抜ける「汎(はん)発性脱毛症」などがあります。

 確かな原因はまだ明らかになっていませんが、自身のリンパ球が、毛を作っている毛球部を攻撃していると考えられています。脱毛によって見た目が変わることは、患者さんのQOLに大きな影響を与えます。かゆみや痛みなどは強くありませんが、心理的な負担は決して少なくありません。

―治療法はどのようなものがありますか。

 軽症例にはステロイドなどの外用で対応します。また、中程度から重度の場合や難治の場合には、「ステロイドパルス療法」を用います。

 ステロイドパルス療法では、患者さんに3日間入院していただき、ステロイドを静注します。効果が出るのは治療後、2、3カ月ほど経過してから。1回の点滴で治療が終わるため、患者さんにとっては通院などの負担が少ないのがメリットの一つでしょう。

 免疫力の低下によって風邪をひきやすくなるという副作用がありますが、大きな副作用は比較的少ないのも特徴です。

 「局所免疫療法」も、主な治療の一つです。週1回程度、特殊な薬品を脱毛部に塗ります。薬品によって軽いかぶれを起こさせることで、発毛を促す仕組みで、ステロイドパルス療法では成長への影響が懸念される小児などに対しても実施できるのがメリットです。

 「AGA外来」の患者さんは比較的若い方が中心です。早い方では20代から脱毛が始まる方もいます。

 AGAは、遺伝によるものが大きいということが分かっています。飲み薬によって男性ホルモンを抑制する治療が中心になります。

 現在、フィナステリドとデュタステリドの2種類の薬が使用されており、脱毛抑制効果がありながら、男性機能にはほぼ影響を与えないことが分かっています。これら内服薬ができてから、AGAの治療成績は格段に上がりましたが、いずれも自費診療です。

―治療の注意点は。

 脱毛外来を訪れる患者さんの多くは、「治るのだろうか」といった不安を抱えています。そこで、さまざまな治療法があることや、早期であれば治り得ることなどを説明し、安心していただけるように心掛けています。

 診察時にダーモスコピー(拡大鏡)で患部を確認すると、産毛(軟毛)が生え始めていることが早い段階で分かります。数多く生えてきている場合には、その兆候を患者さんに伝えることが治療のモチベーションにつながると思います。また、定期的に画像を撮り、発毛の様子などを患者さんと共有することも大切だと考えています。

 脱毛治療において最も良くない影響を与えるのは患者さん本人のストレスです。患者さんの意識を「毛」に向けないようにすることも治療の第一歩。患者さんの心理的な負担を減らす対応や声掛けが、最も大切なのではないでしょうか。


徳島市蔵本町3―18―15
☎088―631―3111(代表)
https://www.tokushima-u.ac.jp/med/culture/hihuka/

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