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一歩先をいく冠動脈疾患の診断・治療を目指す

一歩先をいく冠動脈疾患の診断・治療を目指す

循環器内科 赤阪 隆史 教授(あかさか・たかし)
1982年和歌山県立医科大学卒業。神戸市立中央市民病院(現:神戸市立医療センター中央市民病院)、川崎医科大学循環器内科助教授などを経て、2005年から現職。

 「いかにコストを抑え、クオリティーを保ちつつ、患者さんにやさしい治療ができるか」。冠動脈疾患の専門家として、患者により多くを還元するために研究を続けてきた赤阪隆史教授。その取り組みや医療にかける思いとは。

―患者の傾向や現状、教室の強みは。

 一番多いのは冠動脈疾患。次いで不整脈ですね。患者さんの高齢化はここでも顕著で、80代は当たり前、90代も増えています。

 冠動脈疾患の治療法は三つ。薬物療法、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、冠動脈バイパス手術。循環器内科で扱うのは、外科領域であるパイパス手術以外の治療すべてです。

 インターベンションはカテーテルを用いて狭くなった冠動脈にバルーンを膨らませてステントを入れるのが基本です。ここでは先端技術を駆使した手法である光干渉断層法(OCT)を行っています。

 これは近赤外線を用いて冠動脈を観察するもので、最大の特長は約10ミクロンもの高画像分解能。これまでの血管造影だと解像度は500ミクロン、超音波でも100ミクロン程度ですから、顕微鏡レベルの画像を見ながら治療できるわけです。

 企業との研究も進めてきました。FFRCTという非侵襲的冠動脈診断で、昨年12月から保険収載されています。

 これは、通常の冠動脈CTデータから血流情報をAI(人工知能)を使って計算し、血管の狭窄が心臓の血流に与える影響を解析するもの。従来のCTでは血管に形成されたプラークの状況と狭窄度しか分からず、心筋に血液供給が足りているかは心筋シンチグラフィーという検査で画像化していました。

 それが、FFRCTだけで検査が完結でき、入院前に治療計画を立てることもできます。現在、AIを用いて冠動脈プラークの質的診断を自動化できるソフトの開発にも協力し、心筋梗塞を発症しやすいプラークの検出法の年内完成を目指しています。

―CCUを併設。

 症例で多いのは冠動脈疾患、心不全です。CCUは本来、コロナリー(冠動脈)ケアユニットの略ですが、心不全が増え、カルディアック(心臓)ケアユニットに変わりつつあるのが実情。心筋症、弁膜症、不整脈も増えています。

 心臓血管疾患に対する当直は、循環器内科とCCUの2人体制。緊急バイパス手術になる場合は外科につなぎます。急性心筋梗塞の搬送は年間150人超です。ドクターヘリで運ばれる患者も多く、一昨年のヘリ出動は450件のうち65%は外傷。内科で最多は脳卒中で18%、次に心臓血管が8%でした。

 救急集中治療部門と循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、心臓カテーテル室、手術室はチームワークが非常によく、連携がスムーズです。この連携は、普段からハートチームとして一番の強みにもなっています。

 また、大学病院には珍しくリハビリテーション科があるので、心臓リハも充実。PT、OTが早期からベッドサイドで活動してくれるのでとても助かっていますね。

 高齢の患者さんに対しては治療後の生活サポートも必要ですし、若くして患った方とは30年40年というお付き合いにもなります。

 ライフスパンを考慮して次のステップに進まないといけません。必要なのは社会全体として、より積極的に循環器病対策を推し進めていくことだと思います。

 昨年12月、循環器学会と脳卒中学会が共に取り組んだ「脳卒中・循環器病対策基本法」が成立しました。がん対策基本法に遅れを取りましたが、これから国の対策が大きく前進するはずです。まずは、全国で治療の均てん化を目指すことになるでしょう。

 心臓が悪くなると最終的には心不全になり、命に関わります。しかし、早めに対策すれば、健康寿命を延ばすことも可能です。より良い診断、早期予防、そして診療体制の体系化を、実現していきたいですね。

和歌山県立医科大学 循環器内科
和歌山市紀三井寺811─1
☎073─447─2300(代表)
https://www.wakayama-med.ac.jp/med/junnai/

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