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ワークライフバランス改善で 一人一人が輝く職場に

ワークライフバランス改善で 一人一人が輝く職場に

愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学講座 
江口 真理子 教授(えぐち・まりこ)

1991年広島大学医学部卒業。
広島大学医学部小児科・広島大学原爆放射能医学研究所、
英国癌研究所、獨協医科大学血液内科、
愛媛大学医学部附属病院周産母子センターなどを経て、2019年から現職。

 愛媛大学医学部小児科学講座に、初の女性教授が誕生した。江口真理子教授は、白血病や小児がんの研究に取り組む一方、仕事と育児を両立する女性医師のロールモデルとしての期待がかかる。江口教授が語る医局の将来、そして女性医師の働き方とは。

周囲の協力を得て 走り続けた11年

 「病院長先生をはじめ周囲の先生方のご理解がなかったら、私は今、ここに座ってはいられませんでした」。2人の子どもを育てながら、愛媛大学小児科学講座初の女性教授となった。

 子どもの頃、父から渡されたゲノムと病気を特集した科学雑誌を読んで、医師を志した。広島大学医学部を卒業後、英国留学を含め、国内外の研究所で実績を積み、小児血液腫瘍学・遺伝学のプロフェッショナルとしてのキャリアを歩んできた。

 愛媛大学に赴任する直前の2008年1月に出産。夫婦共働きで、子育て・仕事の両立が始まった。

 その頃の愛媛大学は院内保育所が開設されたばかり。両親も遠方のため、協力を頼めない。そこで仕事を続けるために、当時の病院長にさらなる学童保育など施設・制度の拡充をお願いしながら、関連学会にも学術集会の開催時に託児所の設置を呼びかけた。周囲
もこれに応え、手探りながらも徐々に環境が整えられてきた。

 これらの施設は現在、子育て世代の医師の大きな助けとなっている。「子育てと仕事の両立について自分でも工夫しながら、その都度周囲に相談して、徐々に整えていただきました」

 江口教授と多くの医師たちによって、長い時間をかけて築いた愛媛大学医学部附属病院の育児サポートシステムは、今では大切な財産になっている。

患者や家族そして 医師個人の幸せを

 「患者と家族の幸せはもちろん、良い仕事のためには医師本人が幸せでないといけない」と江口教授。

 「スタッフ一人一人が夢をかなえ、喜びを分かち合える医局を目指したい」として就任から4カ月、大学の医局だけでなく関連病院の医師から夢や希望、困り事などを聞き取ってサポートやアドバイスを行っている。

 「みなさん本当にさまざまな夢をお持ちです。それを一緒にかなえて分かち合える方向に持っていきたい。大きな仕事をすることも大切ですが、医師個人の幸せも忘れてはいけないのです」

 今後は効率化や人員配置の見直しによるワークライフバランス改善に取り組むという。

研究の充実と 人材育成に注力

 医局としては「新生児から成人まで切れ目のない医療を提供し、愛媛で安心して子どもを産み育てられる環境をつくる」ことを目標とする。

 具体的には、①集約化による地域格差の是正、②院内・院外連携による診療や研究の充実、③次世代医師の育成の3点だ。

 愛媛県では現在、地域を三つのブロックに分け、各地の拠点病院を中心として小児医療を集約している。拠点病院と医局の連携も良好で、寄附講座を通じた人材育成も図っている。

 しかし、それでも十分ではない。特に南予・東予は人員不足による医師の負担が大きく、小児救急体制もさらなる充実が必要だ。

 人材確保のために、医局の魅力を発信すると同時に、若手医師と女性医師の育成・活用に取り組む方針だ。

 また、研究の充実にも意欲をみせる。院内連携によりほぼすべての小児科専門分野の研究が可能という同医局で、若手医師のリサーチマインドを育成し、さらには留学を後押しする。

 女性医師についても「周囲に助けられながらここまでやってきた自分を見て、女性医師が頑張ってくれるとやっぱりうれしいです。みんなが活躍できるようサポートしていきたいですね」

愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学講座
愛媛県東温市志津川 ☎089―964―5111(代表)
https://www.m.ehime-u.ac.jp/school/pediatrics/

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