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ロボット支援下手術を軸に県内泌尿器科医療充実へ

ロボット支援下手術を軸に県内泌尿器科医療充実へ

富山大学大学院医学薬学研究部(医学)腎泌尿器科学講座 北村 寛 教授(きたむら・ひろし)
1994年札幌医科大学医学部卒業。
国立がんセンター中央病院泌尿器科チーフレジデント、
仏キュリー研究所附属病院がん免疫療法科などを経て、2015年から現職。

 富山大学医学部腎泌尿器科学講座教授に就任して4年目。ロボット支援下手術を軸に富山県内の泌尿器科医療の充実を念頭に、力を注いできた。見えてきたという次なる課題とは。

―ロボット支援下手術の導入について。

 私は、札幌医科大学を経て、1998年に国立がんセンター中央病院に異動。センターで過ごした4年の間に、腹腔鏡下手術やロボット支援下手術についての基本的な技術を学ぶことができました。

 富山大学で私に課せられた最も大きな役割は優秀な泌尿器科医の育成です。

 まずは、腹腔鏡下手術やロボット支援下手術を高い技術で実施できる医師を育てること。それによって、大学病院の医療を充実させ、さらには県内の関連病院に優秀な人材を派遣して、県内のどの地域でもレベルの高い医療を提供できる体制を整えていくことです。

 2015年の着任時は富山大学を含め、富山県内に手術支援ロボット「ダビンチ」は1台もありませんでした。導入するための予算を得るのも、すぐには難しかった。そこで、まずは当大学でまだ導入されていなかった腹腔鏡下手術による前立腺がんや膀胱がんの手術に着手しました。

 同時に、当時、私以外にいなかった日本泌尿器内視鏡学会の技術認定医を養成するという目標を掲げ、人材育成に取り組んだのです。症例数を1人に集め、翌年の申請で1人目が合格。その後、毎年1人のペースで認定医の資格が取得できています。

 さらに、着任から1年ほど経った2016年12月には、ダビンチが導入されました。1週間後にはスタッフのトレーニングを開始。短期間で集中してトレーニングを積み、着任して1年余りでダビンチを活用した手術を開始することができました。

―ロボットを活用した手術のメリットをどう考えていますか。

 もともと泌尿器科の手術は大掛かりで、出血量も多く、患者さんにとって負担が大きい手術でした。

 しかし、ロボット支援下手術は明らかに出血量も少なく、輸血しなければならないという事態になることは、ほとんどありません。合併症が少ないことも大きなメリットです。

 また、同じ術式で一定レベルの手術をしたら、同じ結果を得られるというのも利点。それが、ロボット支援下手術が普及していく理由の一つでしょう。

 ただ、どの術式をとっても、すべて完璧というわけではありません。それをいかに完璧に近づけるかの努力を続けていくことが外科医の責任であり、また、医療の質向上につながることは間違いありません。

―症例数などを。

 日本泌尿器科学会の専門医・指導医は、現在、私を含めて6人。サージカル社のロボット支援下手術も着実に実績を挙げ、昨年は前立腺がんに対する前立腺全摘除術が約60例、腎臓がんに対する腎臓の部分切除が約30例、膀胱がんに対する膀胱全摘除術も約10例実施することができました。

 都市部と比べると症例数は多くありませんが、県内で最初に始めたということもあり多くの病院から患者さんを紹介していただいています。施設としての経験値も上がりますし、若い世代にロボット支援下手術をやってもらう機会が増えることにつながります。

 県内でロボットを導入する関連病院も出てきました。その病院に若手医師を派遣し経験を積むことができれば、地域医療の即戦力となる人材を早く育成することができます。

 富山県は前立腺全摘除術の症例が他県に比べて少ない。それは、ロボットの台数が少ないということだけでなく、泌尿器科医が不足しているという理由もあると思います。県内の泌尿器科医が増えることで、県民が適切な治療を県内で受けられることになると考えています。

富山大学大学院 医学薬学研究部(医学) 腎泌尿器科学講座
富山市杉谷2630
☎076―434―2281(代表)
http://www.med.u-toyama.ac.jp/uro/

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