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リハ科専門医を1人でも多く

リハ科専門医を1人でも多く

三重大学大学院医学系研究科 リハビリテーション医学分野
教授(ももさき・りょう

2004年東京慈恵会医科大学医学部卒業。
同大学附属第三病院、東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了、
帝京大学医学部リハビリテーション科准教授などを経て、2020年から現職。

 2020年3月に新設されたリハビリテーション科の初代教授に就任した、若きホープ。三重県には縁もゆかりもなかったが、「リハビリテーション科専門医を自らの手で育てたい」という一心で東京を離れ、赴任した。今、新境地でスタートラインに立つ。

生活に分け入る面白さに目覚めて

 生まれ育ったのは熊本県水俣市近郊。「前は海で後ろは山。その山を三つ越えて、ようやくコンビニです」と懐かしむ。父親は、町の開業医。1日も休むことのなかった父は「医者になれ」とは一切言わなかったが、結局、きょうだい6人のうち5人が医師に。「人の役に立つことを生きがいにしていた。それを見て、やっぱりいいなと」

 その後、東京へ進学。患者のトータルマネジメントに関われないかと考えていた時、リハビリテーション科の実習で退院前訪問指導に加わったことが、人生を決定づけた。「患者さん宅で家族や家屋改修業者の方やケアマネジャーが、一緒に膝を突き合わせて話し合うのを見て、これは面白そうだと思いました」

 公衆衛生学修士を取得した東京大学大学院ではビッグデータを用いたリサーチに没頭。ここでの手応えが後の原動力にもなった。「この領域はまだエビデンスが不十分。早期介入することの有効性を示せれば、よりリハビリを広められると活動してきました」

 早く実感するには、診療報酬を変えること。関わった論文が基となり、加算が決まったときはうれしかったと話す。エビデンスを活用し、政策立案やガイドライン作成にも関わってきた。「十分なリハビリを受けられていない患者さんは全国にいます。手を差し伸べられる方法を模索し、実現していきたい」

効率的なリハビリに導く

 摂食嚥下(えんげ)障害に対するリハビリでは、嚥下内視鏡検査で病態観察のみならず、どのようなリハビリや食形態が最適か、踏み込んで検討する。また、脳卒中患者への下肢装具療法や、手足の筋緊張に対するボツリヌス療法では、「訓練効率を高めるにはどんな装具がふさわしいか、手足のどこを柔らかくすればいいのか、リハビリのためにできることを考え尽くします」。医師として何ができるか、アプローチの手法を数多く持っていることが重要と語る。

 急性期の場合、全身状態が悪い患者が多く、セラピストが迷う場面は多い。その際に、背中を押す役割も引き受ける。「リハ科専門医が入って線引きすることで、攻め込んだリハビリが可能になるのです」

 多職種のスタッフと役割分担をしていくことも、役目の一つだ。「人が好きでないと務まらない。そう思います」

認知度を高めニーズを掘り起こす

 三重県のリハビリテーション科専門医は現在19人。「とにかく数を増やすこと。今、専門医養成のプログラムを作成中です。1人でも2人でも来てほしい」。周囲の病院に就任のあいさつと同時に、協力を申し入れている最中だ。リハビリテーション部の動画配信もスタートさせた。「まずは認知度アップが課題です。リハ科専門医が地域にどう貢献できるのかを広めて、全体のニーズを掘り起こしていきたい」

 がん患者のための術前リハビリ外来や週末リハビリなど、マンパワーの許す限り強化したい案はいくつもある。やるべき価値があると立証するためのエビデンスも集約中で、今後解析を進めていくと言う。

 生活や福祉の視点に立ち、患者に寄り添い医療につなげていくリハ科専門医の役割はますます高まる。「専門医が1人いると、地域の医療の質は確実に向上する。そう確信しています」


津市江戸橋2ー174 ☎️059ー232ー1111(代表)
https://www.hosp.mie-u.ac.jp/section/rehabilitation/

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