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リハビリを極め地域、全国に貢献したい

リハビリを極め地域、全国に貢献したい

独立行政法人地域医療機能推進機構   根橋  良雄 院長(ねはし・よしお)

1980年東京医科大学卒業、1986年東京医科大学大学院修了(医学博士)。
社会保険蒲田総合病院内科部長、JCHO東京蒲田医療センター副院長などを経て、2015年から現職。

  2018年、トヨタが開発するリハビリ支援ロボットWelwalkを本格導入した独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)湯布院病院。都市部から離れ、高齢化が顕在化している地域での「」について、根橋良雄院長に聞いた。

―病院の特色は。

 1962年の創立当初からリハビリを核とした医療を展開してきました。湯布院は、都市部から離れています。近年では高齢化が顕著になったことを受け、特に高齢者のリハビリ医療に尽力しています。

 例えば、肺炎を発症し入院する場合、若い方であれば1~2週間ほど治療に専念すれば、すぐに退院できます。しかし高齢者は入院の間にも筋力が弱り、歩行や生活に支障をきたしてしまう。ですから、病状に合った治療とともに、足腰のリハビリをしっかりと取り入れることが重要です。

 また、温泉プールを活用したリハビリも導入しています。今年4月には院内の体制をさらに強化するため、回復期リハビリテーション病棟を1棟から2棟に増棟し、60床から88床へと増やす予定です。


―現在、積極的に取り組んんでいることとは。

 リハビリ支援ロボットWelwalkでのリハビリです。2016年にトヨタから臨床研究の依頼をいただき、共同研究の末、本格導入に至りました。

 Welwalkは運動学習理論をもとに開発された歩行練習に特化したロボットで、主に脳卒中による脳血管障害の方のリハビリに導入しています。重度のまひや筋力低下によって「ひざ折れ」が起こり、自力での歩行が困難な方をサポートします。

 従来のリハビリでは、長下肢装具を装着し、スタッフが抱えながら歩行練習をしていたため、遊脚時の歩行が不安定になり、悪いくせをつけてしまうという欠点がありました。

 しかし、Welwalkは、足底に圧力センサーが搭載され、遊脚のタイミングに合わせて膝が曲がる。それに合わせ脚の持ち上げや前方への振り出しをアシストします。ロボットの重量は、前後のハーネスによってキャンセルされるので、患者さんが荷重負担を感じることもありません。早期から正しい歩行練習が可能になるのです。また、ハーネスで体を吊るので転倒のリスクへの安全性が担保されています。このようにさまざまな利点によって、歩行練習時間を導入前の約3倍に増やすことができています。

 モニターで患者さん自らが自分の歩行を確認しながら回復に励み「自分で歩く」ということを実感できるので、患者さん自身も好感をもってリハビリに取り組んでいただけているという手ごたえがあります。

 また従来のリハビリに比べ、歩行自立度が退院時に1ランク上がることも立証されています。大きな飛躍が期待できる分野ではないでしょうか。


―今後の展望を。

 リハビリやそのノウハウを院外にも積極的に提供していくことが使命だと感じています。現在特に力を入れているのは、災害時のリハビリ活動。近年頻発する災害では、発災直後のけがだけでなく、避難所での生活で生じるエコノミークラス症候群や筋力の衰退などの災害関連疾患も大きな問題となっています。

 こうした背景から、全国組織の「大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会」の大分における地域JRATとして「大分JRAT」を、2016年5月に立ち上げました。災害後、医師やセラピストでチームを作り、被災地に派遣。避難所全体の環境をアセスメントし、起こり得る問題を行政・保健所などに報告、アドバイス・対応する取り組みです。

 地域に根ざしたリハビリ医療は、県内だけにとどまりません。リハビリという視点からこれからもより良い医療を模索し、提供していきます。


独立行政法人地域医療機能推進機構  湯布院病院
大分県由布市湯布院町川南252
☎0977―84―3171(代表)
https://yufuin.jcho.go.jp/


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