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リゾート滞在型施設によるがん治療の最前線

リゾート滞在型施設によるがん治療の最前線

一般社団法人 メディポリス医学研究所 メディポリス国際陽子線治療センター
荻野 尚センター長(おぎの・たかし)

1982年千葉大学医学部卒業。
国立がん研究センター、同東病院陽子線治療部長などを経て、2017年から現職。

 鹿児島県指宿市の高台にあるリゾート滞在型陽子線がん治療施設・メディポリス国際陽子線治療センター。わが国の陽子線治療の第一線で活躍してきた荻野尚氏はその設立当初から関わり、現在はセンター長として最先端のがん治療スタイルを提案している。

―センターの概要と設立の経緯を教えてください。

 当センターは温泉地として知られる鹿児島県指宿市の豊かな自然に囲まれた中にあります。旧グリーンピア指宿跡地再開発事業として2008年に起工し、九州初の粒子線治療専門施設として2011年に治療を開始しました。

 私は千葉大学医学部卒業後、国立がん研究センターで放射線治療の研究を行い、国立がん研究センター東病院で国内初の医療専用陽子線治療施設の設立に携わりました。その後、メディポリス国際陽子線治療センターの設立に伴って移籍し、わが国における陽子線治療の第一人者である菱川良夫初代センター長の後を引き継いで2017年3月、センター長に就任しました。

 がん治療に利用される放射線は、大きく光子線と粒子線の二つに分けられます。エックス線やガンマ線などの光子線は体内を通り抜ける性質を持つのに対して、粒子線は正常な細胞にほとんど影響なくピンポイントでがん細胞に到達してダメージを与えることができます。

 粒子線には「陽子線」や「重粒子線」があり、前者は元素の中で最も軽い水素の粒子を用い、後者はそれよりも重い炭素の粒子を用いるという違いがあります。当センターは陽子線治療の専門施設として治療を開始し、これまでに3274件(2019年8月2日現在、外国人を含む)の治療実績があり、昨年度だけでも約600人の患者さんを受け入れてきました。

 当センターで治療できるがん種は前立腺がん、肺がん、肝がん、膵がん、腎がん、頭頸部がん、骨軟部腫瘍などで、小児がん、前立腺がん、頭頸部がん、骨軟部腫瘍の一部の治療については公的保険が適用されます。また、早期乳がんについては現在臨床試験の段階です。

―陽子線治療のメリット、デメリットは。

 陽子線治療の最大の特徴は、「切らずにがんを治す」ということです。1日20〜30分程度の照射中は寝ているだけ。身体的な負担や副作用もほとんどないので、入院する必要はなく、外来での治療も可能です。

 その反面、デメリットとしては、治療期間が約1カ月前後と長期に及ぶことです。当センターに通院される患者さんは隣接するリゾートホテルをはじめ、指宿市内の民宿、ウィークリーマンションなどから自分の好きな場所を選んで滞在されています。

 私たちは「病院らしくない病院、患者さんらしくない患者さんがいる病院」を目指しており、それぞれの患者さんが自由なスタイルで治療に専念することができます。

 豊かな自然に囲まれた中で、リラックスして過ごすことができるのも大きなメリットです。ゆっくりと温泉につかったり、患者さん同士で自然散策に出かけたり、中にはゴルフや釣りといったアクティビティーを楽しむ方もいらっしゃいます。

 陽子線治療については一般に知られていないことも多く、今後の広報活動も大きな課題です。私自身も主に医療従事者などを対象にした講演活動を年間に30回以上行うなど、積極的な情報発信に努めています。

 現在、国内10カ所の治療相談窓口を設けており、海外からの問い合わせにも対応。外国人患者の受け入れにも力を入れています。当センターの特色をさらに広く知っていただいて、より多くの患者さんの治療に役立てていただければと思っています。

一般社団法人 メディポリス医学研究所 メディポリス国際陽子線治療センター
鹿児島県指宿市東方4423
☎0120―804―881
http://medipolis-ptrc.org/

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