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モダリティーの垣根を越え生まれる「アイデア」とは

モダリティーの垣根を越え生まれる「アイデア」とは

愛媛大学大学院医学系研究科  放射線医学 望月  輝一 教授(もちづき・てるひと)
1980年愛媛大学医学部卒業、同放射線科入局。愛媛県立今治病院、米ピッツバーグ大学放射線科、
愛媛大学医学部附属病院放射線部助教授などを経て、2004年から現職。

 愛媛県の松山市総合コミュニティセンターで「第59回日本核医学会学術総会」(第39回日本核医学技術学会総会学術大会との合同開催)が開かれる。会長の愛媛大学放射線医学・望月輝一教授に、今回の見どころのほか、愛媛大学で進行中のプロジェクトや、代表幹事を務める研究会の活動などを語ってもらった。

―どのような学会を企画されていますか。

 会期は11月1日(金)から3日(日)の3日間。愛媛での開催は、当教室の初代教授である濱本研先生が1991年に第31回の会長を務められて以来、28年ぶりのことです。

 今回、メインテーマを「アイデアあふれる核医学」としました。

 近年のCT、MRの革新は目覚ましい。例えば、画像データを処理して補正することで正確な診断に役立てる「逐次近似画像再構成法」といった手法には、これまで核医学で用いられてきた多くの技術が応用されています。

 また、核医学の領域において30年以上前から研究されてきた「放射免疫療法」は、他分野のがん治療でも積極的に活用されるようになりました。

 こうして、モダリティーの垣根を越えた「アイデア」に満ちた核医学を、さらに発展させたいという思いをテーマに込めました。

―見どころは。

 一つは、ラジオアイソトープ(RI)を使った「セラノスティクス(therapeutics =治療とdiagnostics=診断を一体化させること)」に関するシンポジウムです。

 演題の一つは、主に前立腺がんに対するラジウム223やアクチニウム225などのアルファ線、ルテチウム177のベータ線などを用いたRI内用療法について。もう一つは、神経内分泌腫瘍に対するRI内用療法がテーマです。いずれも注目されている分野ですから、興味深い内容になると思います。

 市民公開講座では私が登壇します。再稼働した伊方原発を取り上げ、福島県の事故を振り返りつつ放射線が人体に及ぼす影響の解説や、RIを使った放射線医療への応用などを話そうと考えています。

 会場では、愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」もお迎えします。みなさん、ぜひ松山に「おいでなもし」!

―教室として力を入れていることは。

 これまで、私が世界で初めての「心電図同期心筋血流SPECT」「心臓・冠動脈CT」を開発してきたこともあって、循環器イメージングの研究に力を入れています。

 局所心筋血流量の測定や虚血診断などにおいて、心臓CTや半導体SPECTを用いたイメージングによって治療方針の判断基準としています。

 モダリティーを手掛ける企業との共同研究も進めています。近年の成果の一つは、心機能を評価する「シネMRI」の開発に携わったことです。撮影時間の大幅な短縮化や、より鮮明な画像の抽出が可能になりました。この手法が冠動脈に対しても有用かどうか研究中です。

 循環器領域、放射線領域のドクターや技師がアイデアを出し合う「日本心臓CT研究会(SCCT研究会)」、日本医学放射線学会の研究会の一つ「日本心臓血管放射線研究会」の代表幹事としての活動にも取り組んでいます。

 放射線科は、比較的オンとオフがはっきりしている領域だと思います。女性医師をはじめ、多様な人材が活躍できるでしょう。

 病気が画像で「鮮明に見える」時代。診断、治療において放射線科の力が必要とされています。

 撮影時間の短縮によって患者さんの負担は軽減されました。逆に画像の枚数が増えたことで、読影に要する時間は長くなった。その意味で放射線科には、もっと「仲間」が必要です。増員を目指して、引き続き教室の魅力を発信していきたいと考えています。


愛媛大学大学院医学系研究科  放射線医学
愛媛県東温市志津川
☎089─964─5111(代表)
https://www.m.ehime-u.ac.jp/school/radiology/http2005/

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