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ホルモン治療を啓発女性のQOL向上へ

ホルモン治療を啓発女性のQOL向上へ

愛知医科大学 産婦人科学講座
主任教授(わかつき・あきひこ)

1984年愛知医科大学医学部卒業。
米カリフォルニア大学アーバイン校留学、
高知大学医学部生体機能・感染制御学講座生殖・加齢病態学教室助教授などを経て、
2005年から現職。愛知医科大学副学長・医学部長・医学研究科長兼任。

「日本女性医学学会」の理事長として、女性医学の知識向上、予防医学に尽力する、愛知医科大学産婦人科学講座の若槻明彦主任教授。ホルモン治療の啓発、女性のQOL向上や健康寿命延伸のために取り組むべき課題とは何か。

―日本女性医学学会理事長を務められています。

 現在は、2期目になります。「日本女性医学学会」は、以前は日本更年期医学会という名称だったのですが、更年期を迎えた女性のみならず、思春期から老年期まで女性の一生のQOL向上を目的とするために名称を変更しました。
 
 名称変更したところ会員数が大幅に伸び、約2000人だった会員が、現在は3800人ほどに増えました。学会参加者も増えています。これまでは会員増に重点を置いていましたが、今後は会員の知識向上や学会のクオリティーの向上を目指そうと、さまざまなワークショップや研修会などを開催しています。
 
 特に人気が高いのが「女性のヘルスケア研修会」です。2019年9月から開催しており、女性医学に関する講義を1日で5〜6コマ、年に3回を2年間実施。受講後は学会認定の修了証も渡しています。参加費が自費にもかかわらず、応募が定員を超え、抽選になるほどです。それだけ女性医学への関心、ニーズが高いと言えるでしょう。

―女性医学の現状はいかがでしょうか。

 女性のQOLを下げる疾患で多いのは子宮内膜症です。国内に推計で300万人に近い患者がいるのではと言われていますが、月経痛で何もせずに悩んでいる人も多い。

 慢性的な炎症疾患が続くと、心筋梗塞や動脈硬化のリスクが高まります。子宮内膜症も炎症性疾患の一つで、閉経まで続きます。子宮内膜症の患者さんを測ってみると、血管の拡張が悪いことが分かっており、やはり心筋梗塞や動脈硬化のリスクが高くなるのです。この女性へのホルモン治療は血管の拡張を改善することが分かっています。

 ところが、ホルモン製剤である月経困難症の治療薬で、死亡例が報告されたことがあり、使用を控える医師が増えました。そのような不安を解消しようと、日本産科婦人科学会が、2015年度に適切な診察、処方をまとめた「OC・LEPガイドライン」を作成したのです。

 このガイドラインが出てからは重篤な症例は報告されていません。海外と比べて、ホルモン治療は、不安に感じる方が多いと思います。しかし、正しく使うことで、QOL向上につながるのです。いたずらに怖がるのではなく、学会や大学を通じて、正しい使用について啓発していきたいと思っています。

―医局の特徴について教えてください。

 腔鏡下手術を積極的に実施しており、年間400件以上を数えます。日本産科婦人科内視鏡学会の腹腔鏡・子宮鏡技術認定医が4人在籍しており、同学会研修施設にも認定されています。地域からの紹介が多く、重症患者はもちろん、未熟児や新生児など周産期においてはチーム医療で対応しています。

 医局員には、産科・婦人科の四つの領域である婦人科腫瘍、生殖・内分泌、周産期、女性医学をバランスよく経験できる体制を整えています。

 女性医学に関しては、さらに取り組んでいきたいと思っています。研究においては、①エストロゲンと動脈硬化(血圧や脂質、糖尿病など女性内科中心)②骨粗しょう症③子宮内膜症④ホルモン療法(ピルやHRT)など幅広い視野を持って、国際ジャーナルにも積極的に発表しています。

 看護師、薬剤師とも情報共有しながら、女性医学について、医療者全体の知識の向上に努めていきたいと思います。

愛知医科大学 産婦人科学講座
愛知県長久手市岩作雁又1―1
☎0561―62─3311(代表)
https://www.aichi-med-u.ac.jp/su06/su0607/su060703/22.html

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