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ペインクリニックを柱に介護福祉分野で地域に力を

ペインクリニックを柱に介護福祉分野で地域に力を

 
保岡  正治 理事長(やすおか・まさはる)
1972年徳島大学医学部卒業、同麻酔学教室入局。
米アイオワ大学医学部麻酔科レジデントなどを経て、1981年から現職。

 1979年、徳島駅前に開設した県内初のペインクリニックは、40年後、保岡クリニック論田病院を中心に医療、介護、福祉分野にわたる20余りの施設を展開する法人にまで成長した。グループ名の「あさがお」は国内初の外科手術で使われたチョウセンアサガオに由来する。保岡正治理事長が抱く次の目標とは。

―開設はまだ30代の時だったとか。

 アメリカではレジデントとして働いていましたが、現地で触れた最先端の医療には大きな影響を受けました。そこで疼痛(とうつう)治療に興味を持ったこともあり31歳で徳島駅前にて開業。ペインクリニックは黎明期で国内でも数番目の開設だったようです。

 周囲からは「つぶれるからやめておけ」という声もありました。ペインクリニックという名前もまだ一般的ではなく「クリーニング屋」と間違われ、これに対して「命の洗濯の場」と私は説明していました。

 治療は神経ブロックや薬物療法を中心にした診療でした。クリニックの休日には過疎地での診察などにあたり、2年間は休みなく働きました。

 ところが2年ほど経つと外来患者さんが急に増えました。患者さんは徳島市内のみならず県内一円からお越しになるため入院施設が必要になり19床の有床診療所を開設。専門性のある診療であることから今も県内全域から患者さんが来院します。現在は47床に増床しました。

 近年、高齢化によって運動器疾患が増加。痛み治療にはリハビリテーションを加えた治療が有効であることから、運動療法を取り入れた診療にも力をいれてきました。

 最近は神経ブロックが無効である症例も多く見受けられます。心因性要素が関わる痛みなど慢性疼痛患者への対応も必要になっています。

―福祉や介護分野にも参入し子ども園もありますね。

 1997年にケアハウスをスタートしたことから始まり、その後は高齢者向け有料賃貸住宅、小規模多機能型居宅介護事業所などを展開してきました。

 痛み治療を通じて、患者さんの生活背景を知るうちに地域の高齢者が安心して生活できる場の必要性を感じるようになったのです。

 また、地域包括ケアシステムの構築には病院だけではなく介護や福祉分野との連携が不可欠です。

 新たな取り組みとして2015年からは「ユニバーサルカフェ・つだまちキッチン」の運営もスタート。子どもから高齢者まであらゆる年代が集えるようなカフェを開設。管理栄養士監修のランチ、弁当、惣菜などを安く提供しています。ここでは認知症カフェや子ども0円食堂などにも取り組んでいますので常時多くの住民が集う地域の拠り所となっています。

 このほど徳島市が進める第7期高齢者福祉計画の介護老人福祉施設整備事業に公募したところ計画案が選ばれ、来年に向けて特養開設の準備を進めています。見守りソフトやAIなどを取り入れることで職員の業務軽減を図ります。これまでの集大成となるような施設づくりを目指します。

―今後力を入れていきたいことは。

 長年、〝痛み〟に関わってきましたが特に慢性期医療においては、加齢に伴うロコモティブシンドローム疾患を中心に痛み治療と向き合っています。

 慢性期医療ではリハビリ、栄養、認知症などの取り組みは進んでいますが、疼痛コントロール、つまり痛みへのアプローチという考え方はあまり浸透していません。

 痛みは個人の社会への適応を妨げ、またADLを低下させます。今後は学会活動などを通じて疼痛コントロールの必要性について伝えていきたいと思います。それによって慢性期医療の質の向上につながるのではないかと考えています。


医療法人あさがお会  保岡クリニック論田病院
徳島市論田町大江6―1
☎088―663―3111
http://asagao-gr.jp/yasuoka/

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