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ベンチャー企業を立ち上げ再生医療や医療機器開発に挑む

ベンチャー企業を立ち上げ再生医療や医療機器開発に挑む

琉球大学大学院医学研究科 形成外科学講座
教授(しみず・ゆうすけ)

1998年慶應義塾大学医学部卒業。
同形成外科准教授、琉球大学医学部附属病院形成外科特命教授などを経て、
2018年から現職。

 2015年3月、琉球大学医学部附属病院に形成外科が新設。それと同時に特命教授に任命されたのが清水雄介氏だ。その後、診療や研究、教育の成果が認められ、2018年に琉球大学大学院医学研究科に講座化された。琉球大学1号となるベンチャー企業を立ち上げるなど、産学官連携のもと再生医療や医療機器開発に挑んでいる。

―ベンチャー企業を設立されています。

 私が2017年2月に立ち上げた、株式会社であるGrancell (グランセル)は、再生医療研究の成果を社会にいち早く還元するためにつくった琉球大学初のベンチャー企業です。現在は、それと同時に大きく三つの事業を進めています。

 一つ目は、脂肪幹細胞をストックする事業。個人によって脂肪幹細胞は異なるため、どのような脂肪が、どのような人の脂肪に含まれるのかという研究を進めています。

 二つ目は幹細胞抽出培養シート。幹細胞を抽出・培養するためのシートで、オルソリバース社との共同研究によって、研究用として製品化されています。将来的には、乳がんや頭頸部がんの治療にも貢献できるのではないかと思います。

 三つ目は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)との事業です。AMEDの支援により、これまでは難しかった大学から各企業に、脂肪組織、お産の時の胎盤、臍帯、抜歯した歯などを含め細胞や組織を提供する仕組みづくりを構築しています。これによって再生医療等製品の開発が可能になっていくでしょう。

 産学官連携は、当科の大きな特徴です。連携をより強めて、イノベーション、つまり新しいことに挑戦し、新しいものや価値、概念をつくり出したいと思っています。

―実現への課題は。

 企業はコンプライアンスがしっかりしており、人材も資金も十分です。しかし、患者さんに直接アクセスできないという課題があり、そこを大学側が補完できればと思っています。

 組織や細胞の提供は、提供していただく方の同意を得ます。この段階を踏むことにより、企業も安心して利用できる。そのプラットホームができれば、新しい再生医療や医療機器の開発につながりやすくなると思います。

 現在、組織や細胞の提供については研究倫理委員会にかけています。それが発展して、琉球大学の学内に産業利用倫理審査委員会が設立できればと考えているところです。AMEDの事業が2021年3月までなので、それまでに設立したいと思っています。

 産学官が連携できる仕組みをつくることは、そう簡単ではないかもしれませんが、人が挑戦しないことに挑戦できていることは、幸せだと感じています。

―今後は。

 琉球大学に赴任する以前になりますが、先端にライトを付けた筋鈎(きんこう)を医療メーカーと共同開発しました。停電が多い途上国に診療に行った際、手元が暗い中で手術をしている現場を見て、ライト付きの手術道具があればと思い開発したものです。現在製品化され、国内だけでなく、韓国、台湾、タイなどの海外でも発売が開始になりました。

 このように形成外科医として治療だけにとどまらず、起業家精神を持って取り組んでいくことを大切にしたいと考えています。常識を尊重しつつも、常識にとらわれない。誰もやらないことを見つけてチャレンジする。失敗を恐れずに進んで、失敗しても立ち上がれという気持ちで取り組んでいます。

 琉球大学は国立大学の中で一番新しく、いい意味でコンパクト。その琉球大学医学部の中で、産学官で強い連携を築き、ここから世界に向けてイノベーションを起こしていきたいですね。

琉球大学大学院医学研究科 形成外科学講座
沖縄県中頭郡西原町上原207
☎098―895―3331(代表)
http://www.ryukyuprs.com/

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