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ビジョンを新たに決定 病院改革を一歩ずつ前へ

ビジョンを新たに決定 病院改革を一歩ずつ前へ

地方独立行政法人 神奈川県立病院機構
神奈川県立がんセンター
中山 治彦 総長(なかやま・はるひこ)

1982年群馬大学医学部卒業。国立がん研究センター中央病院呼吸器外科、
聖マリアンナ医科大学客員教授、神奈川県立がんセンター副院長などを経て、
2019年から現職。

 都道府県がん診療連携拠点病院として、神奈川県内のがん医療の中心となっている神奈川県立がんセンター。総長に就任した中山治彦氏は、病院に勤務するスタッフのやりがい・働きやすさの創出をはじめとする、病院改革に積極的に取り組んでいる。

スペシャリストの集団として組織力をつける

 「私がまず、取り組んだことが、病院のビジョン制定でした。病院理念やバリューはあったのですが、どんな病院を目指すのかというビジョンがなかったのです。ここはがんを専門に扱う医療施設であり、スタッフはみなスペシャリスト。それだけに一人一人が気概を持って日々仕事をしています。その個々の力をもっと一つの組織としてまとめられたら、とあえてビジョンを設定しました」

 そして決まったのが〝患者さんに選ばれ、職員が生きがいと誇りを持てる病院〟。このスローガンを院内の目に付くところに掲示。さらに職員の集まるところには積極的に顔を出し、自らビジョンについて語りかけていった。

 「今後は個人の評価制度なども導入し、やりがいが目に見える形で示せればいいですね」。個人の意識改革が、やがて組織の意識改革につながるはずだ。

現場から感じた見えない敷居

 地域のクリニックの医師と話す機会が増え、あるショックな言葉をかけられた。それが「神奈川県立がんセンターに患者さんを紹介するハードルが高い」という声だった。

 「確実にがんの疑いがあるという患者さんでなければ紹介してはいけないのか、と。これは当センターの大きな課題でした。しかし当然ながら、そんなことはあってはいけないわけです。クリニックの先生方は悩んだ末に、センターに患者さんを送ってきます。そこで、患者さんは、がんの疑いあるなしに関係なく〝すべて診る〟という方向を徹底するように大きく転換しました」

 病院自ら門戸を開くことで、地域医療からの信頼と安心感を再構築したいと考えた。また、クリニックなどから紹介を受けた患者さんをずっと抱えることはせず、治療や検査が一段落した患者さんは紹介元のクリニックに返す。そういった役割分担も意識をしたという。このような地域医療との連携、情報共有に力を入れた結果、新規患者は着実に増え続けている。

患者さんから選ばれる病院へ

 「がんという病気は、今や身近で、誰もがかかり得る病気になりつつあります。がんを専門とする病院としての存在感を出していくためには、やはり病院の個性を打ち出していくことが大切であると考えています」

 重量子線治療と免疫療法を同時に受けられるのは、神奈川県立がんセンターの特徴でもある。病院と研究所を併せ持つ機関だからできる「臨床に根ざした研究」にも強みがある。
 
 「アスベストが原因で起こる中皮腫を的確に見分ける新しい中皮腫がんマーカーを、当センターの研究所が発見したのは記憶にも新しいことだと思います。今後も〝患者さんの役に立つ〟研究を進めていきます」

 今後、AIやビッグデータを活用した診療など、医療を取り巻く環境は劇的に変わることが確実である。しかし、その変化を柔軟に受け入れていくべきだと中山総長は話す。

 「スタッフには、これまでの成功体験に甘んじることなく、新しい治療やシステムの導入に積極的になってほしいと思います。新しい技術をうまく取り入れることで、より患者さんと向き合う時間が増え、ひいては医療の充実につながっていくと信じています」

 スタッフをまとめて、大きな変化に挑戦していく。総長としての取り組みは始まったばかりだ。

地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立がんセンター
横浜市旭区中尾2—3—2 ☎045—520—2222(代表)
http://kcch.kanagawa-pho.jp/

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