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ネットワークを支えに「信頼される医療」を

ネットワークを支えに「信頼される医療」を


病院長(みやもと・しんや)
1982年岩手医科大学医学部卒業。同第三内科、岩手県立大船渡病院、
岩手県立宮古病院呼吸器科長などを経て、2015年から現職。
岩手県立宮古病院副院長を兼務。

 岩手県は北海道に次ぐ広大な面積を有し、公的医療機関のネットワークの充実によって医療の均てん化が進められてきた。東日本大震災で大きな打撃を受けた岩手県立山田病院は仮設診療所を経て、2016年9月に現在の病院で診療を開始。地域内外の医療機関との連携のもと、信頼される医療の実践に力を注ぐ。

―どのような地域なのでしょうか。

 当院が位置する宮古医療圏は、山田町と宮古市、岩泉町、田野畑村で構成。山田町を起点にすると隣接する盛岡医療圏まで車で2時間30分ほどを要します。非常に広域の医療をカバーする必要があるのです。

 20ある県立病院を中心として、各地域の医療提供体制の整備が進められています。宮古医療圏でも、岩手県立宮古病院が高度急性期医療や救急医療を担い、回復期、慢性期の患者さんのリハビリテーションを当院などで受け入れる。そうした機能分化の確立に努めているところです。

 今年、厚労省が公表した新たな「医師偏在指標」によると、県別で岩手県は47位。2次医療圏別で見ると宮古医療圏は330位で下から6番目でした。

 こうした状況にありますから、他の医療機関との連携は欠かせません。当院を含む山田町の三つの医療機関はもとより、盛岡市や北上市の病院との協力、岩手医科大学による支援などを得て、診療機能を維持しています。

 将来的な医療需要や人口減なども踏まえて、少ない医療資源でどう医療を成立させるか。連携を強化しつつ引き続き考えていく必要があると思っています。

─近年の動きについて教えてください。

 震災後、入院医療を提供できる山田町の医療機関は当院のみとなりました。診療時間内での1次救急患者を受け入れているほか、レスパイト入院、糖尿病などの教育入院にも対応しています。

 仮設診療所のころにスタートした訪問診療にも引き続き注力。24時間対応は難しいものの、可能な範囲で取り組んでいます。今後は人員の充実を目指し、より推進していけたらと考えています。

 地域の方々のニーズに応えていくために、少しずつ新しい試みも取り入れています。例えば、今年6月に「終夜睡眠ポリグラフィー検査」を導入。これまでは盛岡市などで受診しなければならなかった睡眠時無呼吸症候群の診断が可能となりました。

 7月に「三陸防災復興プロジェクト」の一環として実施したオープンホスピタル「山田病院まつり2019」の来場者は120人超。地域の方々の関心の高さを実感しました。定期的に子どもや学生たちが医療の現場を体験できる機会を提供しています。

 また、山田町と協力して出前健康講座などを開いています。医療圏の面積が広いだけに、特に高齢の方にお集まりいただくのは簡単ではありません。できるだけさまざまな地域を回るようにしています。

─10月の台風19号は山田町にも影響を与えました。

 台風通過後も大雨に備えるなど、2週間ほど警戒レベルが高い状態が続きました。山田町は全壊13棟、半壊80棟、一部損壊82棟。田の浜地区の浸水被害は70戸を超えました。三陸鉄道リアス線は、復旧のめどが立っていません。

 直接的な被害を免れた当院は、情報収集や被災した在宅酸素療法の患者さんの受け入れ、入院患者への備蓄食による食事の提供などに当たりました。

 当院が立地するこの高台は、消防署や交番が近接している山田町の防災の中心部です。災害時には地域の医療機関や行政、大学病院と連携して対応する体制を整えています。今後も地域住民の安心・安全に寄り添い、暮らしや生きがいとも関わりながら医療を提供していきたいと思います。

岩手県立山田病院
岩手県下閉伊郡山田町飯岡第1地割21─1
☎0193─82─2111(代表)
https://www.pref.iwate.jp/iryoukyoku/yamada/

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