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ドクターカーを導入し地域医療の未来に貢献する

ドクターカーを導入し地域医療の未来に貢献する


院長(しみず・ゆきひろ)

1982年富山医科薬科大学医学部(現:富山大学医学部)卒業。
米ピッツバーグ大学がん研究所研究員、京都桂病院消化器センター・消化器内科部長、
南砺市民病院副院長兼内科部長などを経て、2014年から現職。

 地域医療を担う病院として、急性期から回復期、在宅まで一貫した医療提供を行っている「南砺市民病院」。さらなる地域医療への貢献を果たすため、2020年4月までに県内初となるドクターカー専用車両の導入を調整中だ。現在の取り組み、今後の方針などを清水幸裕院長に聞いた。

―病院での取り組みと、特徴を教えてください。

 〝確かで温かい医療〟を目標に掲げる当院で、現在取り組んでいるのが「臨床倫理」です。

 アメリカではすでに確立されている分野で、日本でも医学教育のコアカリキュラムに最近指定されました。医療の現場では、さまざまな方針決定の場面があります。例えば延命治療はどうするのか、治療方針と異なる希望が患者や家族から挙がった場合どう対処するか、その決定には難しいものがあります。

 その決定は、これまで医師の経験値に頼るところが大きかったのですが、当院ではエビデンスを含め、考え方の道筋を理解した上で決定することが重要と考えました。法律の専門家、倫理哲学の専門家に外部委員を依頼し、〝患者の意向を最大限に尊重した医療のケア〟に、職員全員で取り組んでいます。

 また、総合診療医が多く在籍していることも特徴の一つです。各診療科との垣根もなく、専門医と連携をしやすいよう、病院の仕組み自体を工夫しています。

―ドクターカーの導入を予定されています。

 関係機関と調整を図っている段階です。2020年4月までに消防無線、エコー、血液分析装置、輸液緊急セットなどを装備した四輪駆動車を予定しています。導入を決意した理由は大きくは二つあります。

 一つ目は救急を充実させることでの地域医療への貢献です。救急の場合、医師との接触が1秒でも早ければ生存率が高くなる可能性があります。消防指令センターからの依頼を受け、救急車と同時に当院の総合診療医が直接現場に出向くことができれば、その場での有効な救命医療が可能になるのです。もし当院で受け入れ困難な患者の場合には、近隣病院へ依頼するといった、速い判断と処置ができるようになります。

 二つ目の理由は「看取(みと)り」への対応です。在宅での看取りを希望される患者さんやご家族は多いのですが、自宅でいざ緊急事態が起きると、結局救急車を呼ばれることが少なくありません。

 パニックに陥っている状況の中で、一般の方に冷静な判断は難しく、このような時こそドクターカーが赴くことで「臨床倫理」に基づいた適切な判断が行えると考えています。

 3次救急のドクターヘリは富山県にありますが、地域密着型のドクターカーの運用は初めての試みです。導入に当たっては、院内の医師の調整、消防指令センターや救急隊、警察との連携、ドクターヘリとの兼ね合いなど、各機関との調整が大切なところです。

―今後は。

 ドクターカーをはじめ、「必要だ」と判断したことは、たとえ前例が無くても、利益が厳しくても実現していこうと考えています。

 今後の地域医療を考えると、病院機能の再編なども必要になる可能性が高いと感じています。20~30年後を見据えて、5年後から病棟の一部建て替えも予定しています。職員の意見も大いに取り入れたいと、現在意見をヒアリング中です。

 私自身がチャレンジングな研究を続けてきた経験から、職員にも志を高く、前向きに働ける環境をつくることができたらと思います。医療の質を保っていくためには、医師はもちろんですが看護師や技師を含め職員全員のレベルアップが必要不可欠です。

 患者さんを第一に、職員も大切に。そして新しいことにもチャレンジする病院であり続けたいと思います。

南砺市民病院
富山県南砺市井波938
☎0763―82―1475(代表)
http://shiminhp.city.nanto.toyama.jp/

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