九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

チーム医療の核となる形成外科医の育成を目指す

チーム医療の核となる形成外科医の育成を目指す

佐賀大学医学部 形成外科
診療教授(うえむら・てつじ)
1987年久留米大学医学部卒業。
日本赤十字社医療センター、昭和大学医学部形成外科、
佐賀大学医学部附属病院形成外科准教授などを経て、2007年から現職。

 整容性維持によるQOLの向上や再生医療への関心が高まっている。しかし、いまだ形成外科医の数は少ない。県内唯一の形成外科医の医育機関である佐賀大学医学部形成外科の上村哲司診療教授に、形成外科医の育成、その資質や魅力、今後の展望を聞いた。

─形成外科医育成の方向性を教えてください。

 形成外科医は、チーム医療の核として、潤滑油のような働きをするジェネラリストでなければならないと考えています。形成外科医である前に外科医としての基本的な知識が必要ですし、他の診療科の医師たちと、うまく連携するコミュニケーション力も大切です。

 また、ほかの外科系診療科は、病巣を取り除き再発させないことが治療の目的ですが、形成外科は、患者さんが日常生活を取り戻すために必要な機能を回復させることが目的です。それだけに患者さんに寄り添った医療が必要になります。

 患者さんの年齢層は乳児から高齢者まで幅広く、疾患の傾向も人によって違います。そうした中で、一人ひとりに最良の治療を提供するには、患者さんやそのご家族と信頼関係を築くことが大切です。若手医師には、まず社会人としてのマナーやコミュニケーション力をしっかり身に付けるよう厳しく指導しています。

─医局の特徴は。

 県内唯一の形成外科医の医育機関で、佐賀県内の症例のほとんどが集まってくるため、さまざまな疾患を診ることができます。また、関連病院と連携し、大学病院以外の環境でも経験を積んでもらうようにしています。医局にいれば上級医師がフォローをしてくれますが、関連病院などに出れば、自分一人で対応しなければなりません。さまざまな経験を積む中で、社会性と専門医としてのスキルを身に付けてもらっています。

 研究分野においては、足病変における歩行や糖尿病に関する神経障害の研究を中心に取り組んでいます。

 現在、福岡県久留米市の靴メーカー・アサヒシューズとの産学連携で、糖尿病患者さんの足を守ることを目的とした「メディカルシューズ」の開発に取り組んでおり、2019年の12月にモニタリングを開始しました。五輪開催前後にはプロモーションも行う予定です。2〜3年以内に商品化したいと考えています。

─形成外科医の魅力、求められる資質は。

 多くの学生が疾患の原因や病態の現象などに興味を持って医師を志すと思います。しかし、形成外科では視診や触診など〝五感〟による診察が何よりも重要になります。手術の前にはどのように形づくるか詳細にデザインするため、デザイン力も重要なスキルです。

 資質を問うなら、器用不器用は関係なく、物を作ったり、繊細な作業をしたりするのが好きかどうか。「好きこそ物の上手なれ」という言葉のとおり、好きであれば、センスは磨かれるはずです。

 このようなアーティスティックな素養を医療に生かせるのは、形成外科医の魅力の一つだと思います。また、あらゆる年齢層をターゲットとし、症例も幅広い。さまざまな臨床経験を重ねながら学べることも魅力だと思います。

 形成外科医は、再建外科のために正常な組織(ドナーサイト)を犠牲にして、変形や欠損が生じた部位を作ります。そのドナーサイトにもメスを入れるので、責任は重大です。しかし、それだけにやりがいもあるのではないでしょうか。

 今後は低侵襲をキーワードに、形成外科も内視鏡手術やロボットを使った再建手術が広がると思います。AIの利用もあるかもしれません。これからの10年で形成外科は大きく変わっていきます。最新技術を取り入れ、患者さんにとって最良の医療を提供できるように努めていきたいと思っています。

佐賀大学 医学部形成外科
佐賀市鍋島5─1─1
☎0952─31─6511(代表)
http://www.prs.med.saga-u.ac.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram has returned invalid data.

コメントはこちらから

メニューを閉じる