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ダビンチ導入と連携強化で宮崎の医療を県内で完結

ダビンチ導入と連携強化で宮崎の医療を県内で完結

宮崎大学医学部外科学講座 呼吸器・乳腺外科
病院教授(とみた・まさき)

1988年宮崎医科大学(現:宮崎大学)医学部卒業。
宮崎県立日南病院、宮崎大学医学部講師、同准教授などを経て、2015年から現職。

 手術支援ロボット「ダビンチ 」による肺がん手術がスタートした宮崎大学。コロナ禍にあって、実施が難しくなっているものの、一定の成果を得ている。ダビンチ導入の経緯、宮崎県の医療の課題について富田雅樹病院教授に聞いた。

─ダビンチ導入の効果は。

 2020年1月から始めましたが、まだ症例数が20に満たない段階で、何とも言えないのが正直なところです。新型コロナウイルス感染症の影響も間違いなくあります。

 ただ現時点で、手術に関して不具合は感じていません。術後の痛みに関してはロボット支援下手術を受けた患者さんのほうが少なく、回復や退院が早くなっていると感じています。ただし、統計的にはっきりと分かってくるのは、これからだと思います。

 問題がないわけではありません。鉗子(かんし)類やステープラーなどの各種器具のコストが、通常の胸腔(きょうくう)鏡手術よりかかるのに対し、保険診療点数は同じ。その分だけ病院に負担がかかりますが、患者さんのメリットを考えれば、総合的には「良い」と判断し、進めているのが現状です。

 ロボットは狭いところでも鉗子が自由に動くので、例えば肺尖(はいせん)の縫合などにおいてメリットが大きいと感じています。

─ロボット手術の可能性は。

 症例数が少なく、まだ慣れていないこともあります。例えば、通常の手術では使用する鉗子類を場面に応じて使い分け交換しながら進めますが、ロボット支援下手術では鉗子の交換は必要最小限しか行いません。

 さらに、ロボット支援下手術は胸腔鏡手術を一定数経験し、呼吸器外科専門医を取得したものでないと開始できません。胸腔鏡手術は今後も続け、若い医師には、まず胸腔鏡手術を教育し、専門医を取得してもらいます。その上でロボット支援下手術が行える医師を増やしたいと考えています。

 今は暗中模索の状態ですが、進めながらエビデンスを固めていきたいですね。医療機械の進歩は目覚ましく、そこに依存している部分は大きい。おかげで手術もスムーズに進むし時間も短縮できると思います。

 また、現在ロボットを使用しているのは泌尿器科と呼吸器外科だけ。今後は婦人科も導入予定です。婦人科と当科は手術の曜日が同じで重なってしまうため、さまざまな調整が必要にもなるでしょう。

─宮崎県の医療の課題とその解決策について。

 宮崎県は手術の症例数が以前に比べて増えてきています。これにはいくつかの要因がありますが、私は医療機関同士の連携がスムーズになってきたからではないかと思っています。

 これまで宮崎大学では、連携ができていない県内の医療機関が多くありました。そこで呼吸器外科領域に関してのみですが、私が声を掛け、各医療機関から手術症例数を提出していただき、宮崎県内の各機関でデータを共有する取り組みを3年ほど前から始めました。このほかにも一緒に研究会を開催したり、1年に数回は集まってディスカッションをしたりする取り組みを始めています。

 これらの取り組みによって、同じ〝宮崎県の医療を担う仲間〟という、共通意識が少しずつ芽生えてきたのではないかと思います。今後ももっと風通しが良くなれば理想的です。

 その根底にあるのは、わざわざ患者さんが県外の医療機関に頼ることないよう〝宮崎県の医療は、県内で完結させたい〟という思いです。例えば、肺がん、乳がんの治療を受けるために県外の医療機関に行かざるを得ない医療環境は好ましくありません。そのためには、一定の高度な医療が受けられる環境の整備が必要。今回のダビンチ導入が、まさにその一環であり、ここから発展させていきたいと思います。

宮崎大学医学部外科学講座 呼吸器・乳腺外科
宮崎市清武町木原5200
☎0985─85─1510(代表)
http://www.med.miyazakiu.ac.jp/surgery/thoracic_and_breast_surgery/

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