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コロナ禍を機に変革 「二刀流」でけん引

コロナ禍を機に変革 「二刀流」でけん引

福岡山王病院
横井 宏佳 (よこい・ひろよし)
1986年金沢大学医学部卒業。小倉記念病院循環器内科主任部長、
福岡山王病院副院長などを経て、2021年から現職。
同院循環器センター長、国際医療福祉大学教授兼任。


 4月、福岡山王病院の病院長に就任した横井宏佳氏。コロナ禍に直面したことを機に同院の理念に立ち返り、イメージを刷新するような取り組みを展開している。断らない医療の実践のため、貫いているのは現場主義だ。


コロナ受け入れ断らない医療実践

 博多湾を望む199床は、全室が個室で、洗練された建物は、ホテルのような趣を醸し出している。福岡山王病院では横井氏の病院長就任後、新型コロナウイルス感染症の患者を積極的に受け入れている。「『高貴な病院』という印象が強いが、コロナ禍で市民が困っているときに、高邦会の理念である『生命の尊厳、生命の平等』に立ち返り、役割を果たさなければならない」と考えたからだ。

 同院でコロナ病床を満床の20床(当時)にしたのは、他ならぬ横井氏。5月の大型連休中、救急隊や近隣医療機関からの受け入れ要請を断らずコロナ病床を満床にした。全室個室という特性はコロナ患者の受け入れに適しており、8月末現在、28床まで拡大した。「誰かが一歩踏み出さないと、理由をつけて断ってしまいがち。『』を実践するため、自らコロナ患者を受け入れて姿勢を示しました」


現場感覚を重視「二刀流」目指す

 高木邦格理事長からは「コロナ禍の有事だからこそ、失敗を恐れずチャレンジできる病院長が必要」と命を受けた。これまで、循環器内科医として心臓と心臓以外の血管のカテーテル治療を通算1万2000例以上手がけてきた。「」で、「正直、管理職は肌に合わないと思っていました」と病院長を打診された当初は戸惑ったという。

 大リーグで投打二刀流に挑む大谷翔平選手の存在が刺激になった。「彼の活躍する姿を見て、病院長になったからといって完全に現場を離れるのではなく、病院長と現場の二刀流を目指してみたいと思いました」。現在は病院長職の傍ら、手術、当直もこなす。現場にこだわるのは、現場でしか得られない経験、感覚を組織運営に生かすためだ。経営については高木理事長らの支えがあることが、二刀流への挑戦を可能にしている。

 「」の実現のために現場主義を貫き、自らも汗をかくことで、職員により納得してもらえるような組織運営をしていく。


地域に溶け込み在り続ける病院に 

 最適な治療を提供するため、重視しているのは、臨床、研究、教育の3本柱。患者への治療がより適切なものだったか、今自分たちがやっていることをどう修正すれば今日治せなかった患者を治すことができるのか―を繰り返し考え、実践することが、イノベーションを生むことにつながると信じている。「新しいことに挑戦している病院に患者さんは集まると思っています」と強調する。

 強みであるカテーテル治療の分野では、国内で導入例がまだ少ない経皮的冠動脈形成術を補助するロボットを用いた治療法について、後進に指導している。病床稼働率を上げるための新たな取り組みとしては、人間ドックの結果を紙の文書ではなくスマートフォンで見られるようにして送り、結果に応じてオンライン診療に誘導する仕組みづくりを検討している。

 新たな取り組みで従来の同院のイメージを塗り替えていこうとしている横井氏。根底には、10年後も福岡の街で生き残りたいという強い思いがある。地域に根差すために地元住民やかかりつけ医、医師会との関係構築にも力を注ぐ。

 「この街に当院がないと困る、と思ってもらえるような病院になりたい。当院がどう変わって、どう街に溶け込んでいくのかを、多くの方に見ていただきたいと思っています」

福岡山王病院
福岡市早良区百道浜3-6-45 ☎092-832-1100(代表)
http://f-sanno.kouhoukai.or.jp/

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