コロナ禍を乗り越え 新たな未来を創る年に向けて 日本病院会 会長 相澤 孝夫

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 新年おめでとうございます。いまだコロナ禍に見舞われており、心底からおめでとうとは言いがたいのですが、2021年中にはコロナが収束してほしいとの強い願いを込めて新年のごあいさつを申しあげます。

コロナの対応に追われた1年

 2020年はコロナへの対応で始まり、コロナで終わった1年でした。皆さまはコロナへの医療対応をしつつ、通常の医療も継続するという困難な両面作戦を遂行しなければならず、大変苦労されたと思います。医療者魂のもとに奮闘され、わが国の医療を堅持していただいた皆さまに心から敬意を表します。

 またコロナ禍により経営に腐心した病院に対するさまざまな支援策が政府により実施されましたが、いまだに支援の成果を把握できていません。支援実態を把握し、コロナ収束のめどがつかない中で必死に頑張り続けている病院に対する新たな支援策を提言したいと思っています。

 新興感染症に対する備えについては、しかるべき時に今般のコロナ対応についての検証を行い、医療計画にしっかりと盛り込み準備しておくことが重要と考えますので、皆さまの意見を集約して本会の医療政策委員会で十分な討議をしていただき、提言をまとめたいと思います。

国民皆保険制度を持続していくために

 コロナ禍の中、政府は高齢化(特に75歳以上の高齢者の増加)の進展による受給者の増加や疾病構造の変化、少子化の進展による「現役世代(支え手)」の減少、そして医療の高度化による医療費の高額化などの医療制度を取り巻く社会構造の変化が今後加速していく上に、これまでわが国が構築してきた国民皆保険制度の下でのアクセスや出来高払いを中心とした診療報酬支払制度などは医療費の増大を招きやすい構造であるとして、国民皆保険制度を維持しつつ、制度の持続可能性を確保するための医療制度改革を行わなければならないとしています。

 そのため、第一に必要な給付をできるだけ効率的に提供する視点と、限られた財源とマンパワーの中で必要なサービスを過不足なく効率的に提供していく視点から地域医療構想の実現(急性期病床の削減)とかかりつけ医への適切な誘導に向けた外来受診時などにおける定額負担の活用。第二に診療報酬本体、薬価など保険償還の対象となるサービス価格については、国民の負担を軽減する視点から診療報酬、薬価の適正化を進めるとしています。

 全世代型社会保障改革に盛り込まれているこれらの改革は、主として国の財政課題の視点からの解決方法であり、これからの社会変化を見据え、医療提供者や医療の受け手である国民の視点で、健康と命を守るためのあるべき医療を中心に考えたものではないと思います。

 わが国の医療制度を持続可能とするための改革ばかりでなく、国民が適切に適正な医療を受けられる仕組みと医療現場のゆとりを構築する方向での改革が必要と考えます。この改革は、政府と保険者、国民そして医療者が真摯(しんし)に話し合う場と機会を設けることに加え、話し合うためのデータが必要です。

 これに必要となる日本病院会シンクタンク(仮称)構想がなかなか進んではおりませんが、2021年は必ず前に進めてまいります。

コロナと共存しつつ前向きな政策提言を

 コロナと共存する2021年は、まさに日本の未来に向かっての大きな曲がり角になる年になります。わが国は新型コロナウイルス感染症により経済の大打撃を受け、将来への多額の負債を背負うことになりました。それだけに財政課題一辺倒の医療改革になりやすい素地ができてしまったと考えます。

 このような時期であるからこそ、日本病院会は事実に真摯(しんし)に向き合い、日本の病院医療の望ましい改革を大局的観点から検討し、皆さんと議論し、痛みも伴うことも覚悟した上で、未来に向かった前向きな政策提言を行っていかなければなりません。

 厳しい2021年になるとは思いますが、日本病院会は日本の医療と国の未来のために決意を持って奮闘する所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

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