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コロナ禍を乗り越え より強靱な病院に

コロナ禍を乗り越え  より強靱な病院に


病院長(きはら・やすき)

1979年京都大学医学部卒業。
米ハーバード大学医学部内科部門心臓血管内科、京都大学大学院医学研究科循環器内科学講師、
広島大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学教授・医学部長・副学長などを経て、
2020年から現職。

 第1種、第2種感染症指定病院として、神戸市の新型コロナウイルス感染症対策の中核を担う「神戸市立医療センター中央市民病院」。コロナ専用病棟も新設し、多くの重症患者の命を守り抜いてきた。いかに人員を確保し、病院機能を維持してきたのだろうか。

―これまでの経緯を。

 新型コロナの実態がよく把握できない中、2020年4月9日にクラスターが発生。感染症病床を中心に計36人が感染し、驚きと恐怖、混乱に見舞われました。直後に大勢の職員に自宅待機を命じ、経過観察したことで事態は収束したものの、救急や外来の停止、入院制限など病院機能は2カ月ほど大幅に制限せざるを得ませんでした。

 その間、対策の核となったのが、多職種の実務代表者からなる「コロナ対策コア会議」です。協議を重ね、ここに情報を一元化し、外部を含め3000人以上いる職員に周知徹底しました。活用したのは、電子カルテのログインページです。どの現場がどんな状況で、誰がどう対応し、何を必要としているか、すべてオープンにし、共有しました。

 難しかったのは、陰性でも疑いが晴れない「グレー」の患者をどう扱うかでしたが、これも綿密に情報を整理し、第2波の前には安全に診療する方法を確立。やるべきことを徹底したことで、職員の不安が払しょくされ、「一丸となって立ち向かおう」という気運が高まりました。

 同時に今後の施策を客観的に検討し、臨時病棟をつくることを決定したのが同年8月のこと。市と協力して建設に当たり、11月9日には36床の重症患者専用病棟の運用を開始することができました。

―専用病棟を担当する看護師の確保は。

 同じ市民病院機構の病院から融通し合うことや、離職者や退職予定者に声を掛けるといった手段も使いましたが、到底追いつきません。結局、重症専用病棟で働ける能力を持つのは、集中治療室や手術室、救急に現在所属する人や、その経験がある人です。一斉に院内を検索し、90人を確保。さらに中堅の看護師に数カ月トレーニングを行い、30人を確保し、計120人態勢で臨みました。開設後はすぐに満床となり、現場は多忙を極めました。この準備がなければ、第3波はとても乗り越えられなかったでしょう。

 注力したのは、看護師のケアです。専従のメンタルケア窓口を設置し、少しでも心労を感じたら早めに休ませるなどの対応を取りました。心配していた離職がほぼなかったのは、情報開示を徹底し、院内感染を防いだことが安心につながったからだと思います。市民からの手紙やSNSのメッセージ、クラウドファンディングなども、大きな励みになりましたね。

―大規模な配置転換で、病院運営での変化は。

 感染症病棟に配置された看護師がもともといた現場では、当然、人手が不足するので、11月以降はEICU(救急集中治療室)を停止し、手術後のケアを行うGICU(総合集中治療室)の機能も半分以下に縮小しました。

 今まで集中治療室で診ていた患者さんが一般病床へ移るわけですから、現場のストレスは相当です。しかし、これをクリアしたことで看護レベルは格段に向上しました。「自分たちはもっとできる」ということを、病院全体で発見したのです。この1年で得た経験は、私たちの宝となりました。

 喫緊の課題は、ポストコロナの患者さんの転院問題です。いまだ恐怖心が拭えない状況ですが、「安全」という保証を付けてお返しする努力を続けています。

 高度機能病院として本領を発揮するには、前方連携、後方連携が必須です。現在、連携を結んでいる医師は1500人以上。このつながりを生かすため、より強靱(きょうじん)になった病院の姿を示し、信頼を高めていければと考えています。

地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院
神戸市中央区港島南町2―1―1
☎078―302―4321(代表)
http://chuo.kcho.jp/

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