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コロナ禍に立ち向かう病院

コロナ禍に立ち向かう病院

古民家再生旅館、こどもミライ塾 地域づくりで持続可能病院へ
谷田病院(熊本県甲佐町)

 熊本県甲佐町、特定医療法人谷田会谷田病院(谷田理一郎理事長)は地域包括ケア病棟・療養病棟(85床)と介護医療院(14床)を持つ地域密着型の病院。コロナ禍に見舞われ、2020年春先から数十%の単位で患者数が激減したが、やることは変わらない。人口減少の町で病院機能を維持するため奮闘している。


 人口減・過疎化、高齢化などで将来が不安視される地方のまちと病院。そこでの「病院が取り組むまちづくり」が注目されている。谷田病院は5団体とまちづくり協定を結び、商店街活性化、民泊推進などに取り組んでいる。

 「医療機関の事業ドメイン(事業領域)ではないように感じるでしょう。こうした領域も含めたまちづくりです」と藤井将志・同病院事務部長は語る。人が集まる場を用意して、地域の活性化を図り、病院への信頼を高め、人材の確保などもめざしている。

ホテルづくり、学習支援

 11月14日、築130年の旧松永邸を改修した2棟3室の古民家ホテル「」がオープンした。10月には築140年の旧西村邸(1室)も開業した。谷田病院もかかわる古民家再生旅館づくりで、まちづくりのシンボルだ。

 人口1万人の同町には宿泊施設が1軒もなく、訪れた人は町外に宿泊していた。イベントで人が集まっても、宿泊料金が地元に落ちる機会を逸してしまう。人口増へ定住誘致をしても、いきなりは無理。泊まってもらい地域を知ってもらうことからと言うわけで、町、農林水産省の予算で3軒の古民家を再生した。


 地域の学力が下がると、医療職が子どもの教育のため地域からいなくなりがちだ。そこで夕方から空いている病院会議室を自習室として貸し出す学習支援の取り組み「こどもミライ塾」も始めた。地元小学校の校長が定年後に手伝ってくれるようになり、内容も充実した。高齢者ばかりの病棟に、子どもの声が聞こえるようになり、院内の雰囲気は活性化した。

未来の患者創造

待遇面も充実し、生き生きした職員がそろう谷田病院

 同病院が経営として地域活性化にこだわる理由は、まず「生きがい」の創出。病気や要介護状態の予防に高齢者の仕事、ボランティア活動、地域活動など「生きがい」が役立つという。次いで「人材集め」。まちづくり系の異分野人材との交流で組織を活性化させる。熊本県で活躍する女子バレーボールチームのキャプテンは日中、介護職として働き、夕方から練習に向かう。最後が「未来の患者創造」。人口減を食い止め、人口増を実現できれば、将来の患者人口が増える。


公開講座をライブ初配信 ケーブルテレビと連携
丸子中央病院(長野県)

 長野県上田市、特定医療法人丸山会丸子中央病院(丸山和敏理事長)は新型コロナの影響で、2020年1月から、地域と病院をつなぐ市民公開講座などができなくなり、現場は重く受け止めていた。

 解決の糸口として見いだしたのがユーチューブチャンネル。第1波の渦中だった4月に新設し、5分程度の動画を10月までの半年で約30本公開した。

 最初の動画は高齢者を対象にした自宅でできる簡単な体操だ。理学療法士が視聴者に語りかけながら、手本を示す。シリーズ化で再生回数も伸びている。

 9月には、オンライン会議システムによる市民公開講座を初めてライブ配信した。テーマは新型コロナウイルス感染症。正しい知識を伝えようと、感染管理認定看護師や信州大学医学部附属病院感染制御室の医師が講演した。約50人が聴講し、質疑応答もした。

 20代から50代を中心に初参加が目立った。「未受診の方が当院に興味を持ってくださっている。今はチャンスなのかもしれない」と、広報の安藤あすかさんは手応えを感じている。録画を後日、ユーチューブでも配信した。 

院内から公開講座を生配信する医師たち

 「高齢者はインターネットよりケーブルテレビを活用している」として、その連携にも力を入れる。

 4月〜8月の外来患者数は前年度比6・6%減だったが、9月は前年度を上回った。「情報発信が患者さんの安心につながれば」と期待する。


人材確保動画を公開 再生66万回で効果大
一宮西病院(愛知県)

 愛知県一宮市、社会医療法人杏嶺会一宮西病院(上林弘和理事長)は職員確保のため、看護師と助産師2人の1日を紹介する約10分のリクルート動画を初めて制作した。2020年3月公開の看護師編は視聴数50万回超、8月公開の助産師編も66万回を超える再生回数(ともに10月現在)になった。病院独自の制作では異例の視聴数を得た。

 同院がユーチューブチャンネルを開設したのは2017年夏だ。既公開分は医師講座など約60本に上る。チャンネル登録者数は10月現在で12・5倍増の2500に跳ね上がった。

 撮影〜編集を広報戦略室の服部沙耶さんが担当した。採用ターゲットが20代のため、同年代で共感できる動画づくりを目指した。

 同室係長の永井仁さんは「閲覧数は3月から9月までを昨年同期と比べると約30%増。活動制限の中でウェブへの接触が増加したのも影響した」という。

 視聴者を分析したところ、20代、30代の女性が中心。反応は「将来のために役立った」という学生のほかに「こちらの病院でお世話になった」という感謝の声が患者から寄せられたものもあった。

高い再生回数を上げた看護師動画の一部

 資料請求は「これまでほとんどなかった中国、四国、九州エリアからも来ている」(永井さん)と採用にも好影響が期待される。

 今後は「医師の人柄が病院選びのきっかけになる。新任医師の紹介動画も増やしていければ」(永井さん)と新たな目標を掲げる。

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