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コロナ感染中の出産 受け入れや安全性に配慮

コロナ感染中の出産 受け入れや安全性に配慮

京都府立医科大学 産婦人科学教室
北脇 城 教授(きたわき・じょう)

1981年京都府立医科大学医学部卒業。
米バファロー医学財団研究所内分泌生化学部門、
社会保険京都病院(現:JCHO京都鞍馬口医療センター)などを経て、2008年から現職。

 3月中旬、新型コロナウイルスに感染した妊婦の受け入れ態勢をいち早く整えた京都府立医科大学産婦人科教室。京都府や医師会、産婦人科医会などと協議を進めるとともに、日本産婦人科感染症学会の理事として発信を続けてきた北脇城教授に、コロナ下での対応や課題について聞いた。

―受け入れの経緯や現場の状況を。

 新型コロナウイルスに感染した妊婦さんについては当初、総合周産期母子医療センターを核とした通常の母体搬送システムで対応できるのではと考えていました。ところが3月に入ると、海外の状況から、帝王切開は避けられそうにないと判明。分娩はマンパワーがあり、かつ感染症治療を行う施設でしか扱えないと判断し、3月中旬ごろに京都産婦人科医会を通して「感染した妊婦さんはうちへ紹介してほしい」と府内の全医療機関に通達しました。

 中国に親しくしている先生がおり、現地での状況をつぶさに聞くことができました。また、送っていただいた帝王切開のマニュアルを参考に、準備を進められたのは大きかったと思います。小児科や感染症のスタッフなどとも協力して、病院全体で受け入れ態勢を整えることができました。

 手術室は母親と子ども用の二つを準備し、感染リスクを避けるため、帝王切開は土曜日に実施。感染対策専門の看護師を含む10人ほどで臨みました。

 8月までに受け入れた妊婦さんは、いずれも母子とも無事に退院されています。

―見えてきた課題はいかがでしょう。

 一つは、府内の医療機関で感染した妊婦さんの状況によって、どう役割を分担するかです。感染が拡大した4月、府や医師会、産婦人科医会と話し合い、患者さんは症状別・地域別に区分し、当院はできるだけ重症者と分娩のみを担当することにしました。

 しかし、実際に受け入れるとなると、産婦人科だけでなく、病院全体の問題になります。そうなると、手を挙げてくれる病院はそう簡単には増えません。「無理をしない範囲で」とお伝えしながら、実際に妊娠中期の方を、他の病院でお願いしています。

 二つ目は、院内の体制です。限りある人材や設備の中で対応するので、どうしても病院運営にしわ寄せがいきます。少しでも改善できないかと、他科や事務のスタッフと話し合いを続けており、まずは、分娩室をコロナ対応に変更する工事に着手予定です。

 一連の対応は、実際にやってみると本当に大変でした。良かったと思う点は、行政や関係団体と膝を突き合わせ、一体となって進めてこられたこと。日頃の強い連携が生かされました。院内も同様です。普段からの他科との連携の大切さを改めて痛感しました。

―情報が少ない中、現場の声を発信してきました。

 分娩を担当したのは、講師の藁谷深洋子医師。彼女が患者さんとメディアをつなげたことで、ご本人の声や現場の状況などを広く伝えることができました。患者さんとの信頼関係あってのことだと思います。

 感染された患者さんの出産は、実例がないからか、風評被害を恐れるからか、なかなか報告が上がってきません。対策を講じるためにも今後、全国レベルの調査が必要だと思います。

 また、日本産婦人科感染症学会では8月末、新型コロナウイルス感染症に関するまとめの第11版を出したところです。ご家族への注意喚起は引き続き行っていく必要があるでしょう。

 いよいよ出産という時に感染してしまった妊婦さんの精神的な支えも必要です。メンタルケアに関しては、主治医やNICU(新生児集中治療室)のスタッフが、しっかりと対応できたと思います。今後も感染状況を注視しながら、手を尽くすつもりです。

京都府立医科大学 産婦人科学教室
京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465
☎075―251―5111(代表)
https://obgy-kpum.com/

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