医療法人社団仁泉会 畑病院
畑 洋一 理事長・院長(はた・よういち)
1973年久留米大学医学部卒業。
九州大学温泉治療学研究所(現:九州大学病院別府病院)、
米ミネソタ大学などを経て、1995年医療法人社団仁泉会畑病院院長、2007年から現職。
大分県別府市の仁泉会畑病院は、グループ内に老健施設、訪問看護ステーションなどを有し、地域における医療・福祉の重要な役割を担っている。その先頭に立つ畑洋一氏は、内部環境の整備、グループ内の連携強化を、さらなる地域貢献につなげたいと語る。
―病院の特徴や強みは。
1931年に畑病院の前身である流川診療所が開院、長年にわたり内科の単科病院として地域に貢献してきました。その後、時代や地域のニーズに応えるため、1996年に介護老人保健施設を併設。さらに、在宅支援も強化すべく、以降は訪問看護ステーション、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所などを開設しました。これらの各施設と病院が一体となり、地域における「医療と福祉の総合拠点」を目指しています。
診療面では、2020年8月に整形外科の常勤医が着任しました。高齢者は骨が弱い傾向があり、施設内の患者さんを含めて転倒によるけがが多い。これまでは週1、2回程度の非常勤医が診ていましたが、今後は常に対応できますので、心強く思っています。
専門医が数多く在籍している循環器内科、高齢者を対象にした心療内科なども特徴の一つです。心療内科では月に2回、各施設に入所している軽度の認知症患者さんを中心に診察しています。
―地域とのつながりやグループの連携は。
地域医療機関との連携は、非常に重要だと考えています。現在も連携体制が構築されてはいるものの、さらに強化しなければいけません。いずれは当院が地域連携の中核となり、全員が「win-win」の関係になれるような形をつくりたいと思っています。
地域の皆さんとは、さまざまな活動を通してコミュニケーションを図っています。健康教室、運動教室の定期開催に加え、地域の夏祭りなどにも病院単位で参加。地域貢献という意味でも、これらの活動は大切にしています。
グループの連携は、連携体制がうまく機能できておらず、グループの存続のあり方そのものを模索していました。そこで、外部から専門スタッフを招聘(しょうへい)。現在は少しずつですが、良い方向に進んでいると感じています。
取り組みの一例としては、老健や在宅系に当たっている職員に対し、専門スタッフの方からそれぞれの業務や役割に対して的確なアドバイスをいただいています。職員の意識が変わり、行動も活発になり、グループ内の連帯感にも良い影響が出ていると実感します。
経営の改善を考える際にも医師、看護師、事務、施設の職員がしっかりとコミュニケーションを取り、同じ気持ちで進むことが不可欠です。連携体制の強化には、今後も引き続き注力したいと思います。
―今後の運営方針についてお聞かせください。
グループ内の人材育成に力を入れたいと思っています。現在、外部の専門スタッフにお願いしている状況ですが、本来は院内で指導できる人材を育て上げることが理想です。そのためにも、まずはそれぞれのセクションにおいて、教育担当の職員を育てることから始める予定です。
同時に、職場環境の整備をさらに推し進めたい。グループの職員同士が協力・連携しながら、全員が笑顔で自分の仕事に取り組める職場環境を目指します。これにより、今まで以上に地域の皆さんに親しまれ、地域全体に貢献できる施設になれると信じています。
これはまだ構想的なものですが、診療や治療のために来院される患者さんだけでなく、いずれは健康な人が健康維持のために活用できるような施設になっていきたいという願いがあります。大きな夢かもしれませんが、実現できるよう頑張っていこうと思います。

医療法人社団仁泉会 畑病院
大分県別府市中島町14―22
☎0977―21―1371(代表)
http://www.hata.or.jp/