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クラスター発生に対応 院内対策や経験を今後に

クラスター発生に対応  院内対策や経験を今後に

独立行政法人国立病院機構九州医療センター
病院長(もりた・しげき)

1980年九州大学医学部卒業。同大学院医学研究院助教授、
佐賀大学医学部胸部・心臓血管外科教授、同大学医学部附属病院長、
九州医療センター副院長などを経て、2018年から現職。

 福岡市にある九州医療センターは、県内で最初の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れ、以降も地域の医療機関や行政と連携しながら対応に当たってきた。森田茂樹病院長は、院内でクラスターが発生した経験から強固な感染対策を講じ、将来的な感染症対策も提言する。

―これまでの対応は。

 第2種感染症指定病院として、2020年2月19日に福岡県で最初の患者さんを受け入れました。当初は感染症指定病床2床で対応していましたが、患者さんの増加に伴って4月初めに47床の病棟をコロナ専門病棟とし、現在、病棟の定員を最大16人に設定しています。

 コロナ専門病棟からの感染例は現在まで一度もありません。また、7月に実施した全職員への抗体検査で陽性となったのは1345人中2人のみ。当時、これは院内における感染対策が万全であると同時に、職員が日常生活でも注意を払っている証しだと喜んでいました。しかし、残念ながらその直後にクラスターが発生したのです。

―クラスター発生の経緯は。

 8月下旬、専門病棟とは別の病棟に入院した患者さんが感染しており、起点になったと考えています。

 クラスター発生の大きな要因は三つあります。まず、起点となった患者さんは4人部屋に入院し、そこでマスクをあまり着用しなかったこと。次に、治療によって発熱するような疾患を扱う病棟だったこと。新型コロナによる発熱を臨床的に見分けることが困難でした。

 もう一つは、高流量酸素治療も原因だったと推察しています。後から感染が分かったある患者さんに個室で同治療を行った際、医療者がサージカルマスクをしていても防げない量のウイルスを含んだエアゾールが部屋に充満。その場にいた看護師などに感染が広がったようです。最終的に入院患者さん29人、職員19人の陽性が確認されました。

―その後の対策は。

 現在は酸素療法を行う患者さんにもマスクをしていただき、ウイルスの飛散を防いでいます。

 また、入院される全ての患者さんに入院前のPCR検査を実施。入院中の患者さんには、個室に1人でいる場合や、4人部屋でカーテンを閉じて1人でいる場合を除き、マスク着用の徹底を依頼。1日3回、館内放送でお願いしています。

 職員は、これまで比較的狭い場所に集まって食事することが多かったのですが、現在は各病棟にある患者さん専用の食堂を使い、十分な距離を取るようにしています。これらの施策により、現在のところ新たなクラスターは発生していません。

―今後の新型コロナ対応について。

 人材の交流を通して、新型コロナに対応できる医療者を育成したいと考えています。例えば、当院ではクラスター発生時に専門病棟の看護師が足りず、他の病棟から応援が入りました。そこで経験を積んだ看護師は新しい戦力として、病院の強みになっています。

 今後はこのような流れを院内だけでなく、院外にも広げたいと考えています。九州地区にある国立病院機構の取りまとめ役を担っていることから、2020年12月、六つの病院から看護師を1人ずつ大阪の病院へ派遣しました。新たな場所では違った経験が得られます。今まで以上に高度なレベルの対応ができるようになって、九州に帰ってきてほしいですね。

 さらに、今後のことも考えなければいけません。新興感染症は10年ごとに発生すると言われています。次に同じような感染流行が起こったときに慌てないためには、どのような医療体制が必要なのかを国全体で議論する必要があります。

 当院を含め、国立病院機構がコロナ禍で経験したものを踏まえた案を作成し、厚労省などに提言したいと考えています。


福岡市中央区地行浜1―8―1
☎092―852―0700(代表)
http://www.kyumed.jp/

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