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キラリと光る強みで沖縄から世界へ発信

キラリと光る強みで沖縄から世界へ発信

琉球大学大学院 胸部心臓血管外科学講座(第2外科)
國吉 幸男 教授(くによし・ゆきお)

1980年秋田大学医学部卒業。琉球大学保健学部附属病院医員、
琉球大学医学部助教授などを経て、2005年から現職。


 琉球大学医学部は1981年に1期生が入学。(第2外科)は1983年4月1日に開講し、現在に至るまで一貫して心臓、血管、呼吸器の専門分野に関する研究、診療を中心に行ってきた。

―胸部心臓血管外科の沿革と概要は。

 開講に当たって初代教授として草場昭先生が赴任。2代目の古謝景春教授を経て、私が3代目の教授となります。

 初代の草場先生は血管外科の草分け的な存在であり、多くの末梢血管の外科治療に関する業績を積んでいました。2代目の古謝先生は沖縄県出身です。県内で多い、肝臓の静脈が閉塞・狭窄する難病「バッド・キアリ症候群」の外科治療法を確立するなど、心臓、大血管の治療に情熱を注がれました。

 私は、2005年に教授に昇任して以来、前任の先生方の志を受け継いで沖縄県の地域医療に貢献できるように、外科治療、研究に取り組んできました。

 当科の最大の強みは、開講以来35年にわたって継続的に心臓血管外科の臨床、研究に取り組み、その経験とノウハウが、継承、蓄積されていることです。

 2代目教授の古謝先生が確立された「バッド・キアリ症候群」の外科治療法は、米国の教科書にも標準的外科治療法として記載されているほど、国際的にも広く知られています。

 これは、いわば当科の「オリジナル」な医療研究成果です。実は全国の国立大学法人医学部の中でも独自の研究成果が世界標準になっている事例はそう多くありません。地方の大学、医療機関であってもキラリと光るものを持っていれば、世界的にも通用するということです。

 私は厚生労働省が主宰する難治性疾患研究班のメンバーにもなっており、本土各地からも患者さんが治療に訪れています。また、米国やヨーロッパをはじめ、アジア各国の学会から招かれて講演することも少なくありません。今後も当科ならではの「強み」をアピールすることで、積極的に沖縄から世界に発信していきたいと思います。


―沖縄県内の課題と取り組みは。

 目標として掲げているのは、「島しょ県である沖縄県の心臓血管外科治療を、県内で完結する」ということです。

 私が入局した1980年代前半はまだ医療機器なども十分に整ってなく、心臓病手術のために本土の病院に船で渡航するしかないという状況。中には病状の悪化で、本土に搬送することができないというケースもありました。そのような経験から、「一人の患者も本土に送らない」という決意のもとに、高度先進医療の導入に積極的に取り組んできたのです。

 現在では、大動脈瘤に対する大動脈ステント治療や低侵襲心臓治療(MICS)と併せて治療の低侵襲化を推進し、患者さんの負担軽減に大きく寄与しています。

 また、拡張型心筋症をはじめとした末期心不全症例に対する植え込み型補助人工心臓の実施施設認定を受け、手術実績を重ねているところです。


―人材育成と教育について聞かせてください。

 2017年に本科の医師である仲榮眞盛保医師と新垣涼子医師の2人が心臓血管外科専門医の資格を取得しました。専門医の中で最も難易度の高い資格の一つです。仲榮眞医師は、末梢血管領域での取得でこの領域としては沖縄県で初。新垣医師は、女性医師としての県内初の心臓血管外科専門医です。沖縄県の医療従事者にとっても大きな励みとなっています。

 私自身、沖縄県出身者として、目の前の患者の治療を最優先に考えることが医師としての原点であり、モチベーションとなってきました。現在は全国的に外科医不足が叫ばれています。地元の沖縄県から一人でも多くの外科医が育ってくれることを期待しています。


琉球大学大学院 医学研究科 胸部心臓血管外科学講座(第2外科)
沖縄県中頭郡西原町上原207
☎098―895―3331(代表)
http://www.hosp.u-ryukyu.ac.jp/srg2/

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