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カテーテル教育の徹底 県内の医療提供体制を拡充

カテーテル教育の徹底  県内の医療提供体制を拡充


教授(まえむら・こうじ)

1986年東京大学医学部卒業。同附属病院第3内科助手、
米ハーバード大学、東京大学医学部附属病院循環器内科講師などを経て、2008年から現職。
長崎大学医学部長兼任。

 長崎県内の循環器内科医療をリードしている長崎大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学。教室を率いる前村浩二教授に、教室運営や地域医療への貢献と課題などを聞いた。

―教室運営について。

 2008年はバラク・オバマ氏が米大統領に当選した年で、「チェンジ」という言葉が流行しました。その当時、現在の河野茂学長は医学部長でしたが、臓器別の改革に着手されました。河野先生は翌年に長崎大学病院長に就任され、その時の合言葉も「チェンジ」。番号別に分かれていた内科をいかにスムーズに臓器別に再編できるか。循環器内科教授に就任してすぐだったので、この「チェンジ」は、大変思い出深い言葉になっています。

 新たなスタートを切った循環器内科は、大動脈弁のカテーテル治療をはじめ、重症の心不全患者に対して心臓血管外科が実施する埋め込み型の補助人工心臓の術前、術後のケアを行うなど、臨床のアクティビティーが上がって活気ある教室に発展しました。

 循環器内科の魅力は、カテーテル治療に代表されます。例えば、バイパス手術をしなければならなかった狭心症の患者さんが、カテーテルで血管を広げると短時間で劇的に回復して笑顔で退院する姿を目にすることがあります。私も魅せられて循環器内科に進んだ医師の一人です。

 救急医療においても、心肺停止はもちろん、原因が心臓だと判明すれば、ほぼ必ず循環器内科医が呼ばれます。現在、夜間のオンコールは3グループによる交代制で対応。以前と比較してオンオフははっきりしてきましたが、働き方改革も含め、さらに職場の環境改善を進めていくつもりです。

―地域医療のニーズは。

 高齢者の大動脈弁狭窄(きょうさく)症が増加し、手術ができず心不全で亡くなる方が多かったのですが、2016年からカテーテルを用いた大動脈弁留置術(TAVI)を開始し、県全域から多くの患者さんをご紹介いただき、多くの命を救えるようになりました。

 全国に100万人いるといわれる心房細動の患者さんに対するカテーテルアブレーションは約10年前から実施。現在、年間80例ほどの実績があります。近年は冷凍アブレーションも開始。バルーンを使用して円周状に冷凍凝固する治療法で、従来の高周波と比較して手術が短時間で終了し、患者さんの体力的負担を軽減しています。今後も先端医療の提供に努めていきます。

 課題の一つは、県内のどこに暮らしていても、心筋梗塞を発症した場合、救急隊が到着してから緊急のカテーテル治療が可能な病院に30分以内に到着する医療体制の整備です。長崎県内に多い離島などは難しいのですが、できる限り実現したいと思っています。

 地域ごとの発症数、カテーテル治療を行える病院の受け入れ患者数、搬送時間などの実態把握を行い、順次、医師の配置を進めていますが、治療できる医師の絶対数の不足が大きな壁となり、思うように進行していません。当教室では、新たに入局した医局員の多くをカテーテル治療ができるようになるまで育成し、県内の関連病院にローテートさせることに努めています。

―今後は。

 2018年に成立した「脳卒中・循環器病対策基本法」の基本計画が2020年に決定し、今後長崎県の循環器病対策推進協議会において取り組むことになる医療体制、予防、レジストリシステムなどについての具体的な計画に着手したいと思っています。

 循環器病の患者さんを急性期、回復期、維持期、在宅まで切れ目なく診療するシステムの整備が、長崎県ではいまだに不十分です。救急搬送体制や連携診療システムの拡充をはじめ、県民の健康と安心に寄与するより良い施策をつくり上げていきたいと思います。

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学
長崎市坂本1―7―1
☎095ー819ー7200(代表)
https://www.med.nagasaki-u.ac.jp/junkanki/

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