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アレルギー疾患に横断的な診療を目指す

アレルギー疾患に横断的な診療を目指す

福岡大学医学部 眼科学 内尾 英一 主任教授(うちお・えいいち)
1985年九州大学医学部卒業。横浜市立大学眼科講師、
同医学部附属市民総合医療センター眼科助教授などを経て、2005年から現職。

 目の表面に花粉などのアレルゲンが付着することで起こる「アレルギー性結膜疾患」。年々増加傾向にある眼科アレルギー疾患について、日本アレルギー学会専門医、指導医の内尾英一主任教授に話を聞いた。

―アレルギー性結膜疾患について教えてください。

 アレルギー性結膜炎と春季カタル、アトピー性角結膜炎、巨大乳頭結膜炎の四つの病気をアレルギー性結膜疾患と総称しています。軽症型のアレルギー性結膜炎に対し、残り三つは重症型です。

 アレルギー性結膜炎では目に原因となる物質が侵入すると、数分でかゆみや充血を発症します。服薬や点眼薬で炎症を抑えるのが一般的です。

 重症型は、アレルギー反応が敏感で、花粉やハウスダスト、ダニ、動物のフケ、毛などさまざまなアレルゲンに反応を示し、治療はステロイド薬が必要です。

 従来のステロイド治療では副作用で眼圧が上がり、3人に1人が緑内障にかかるリスクがありました。しかし10年ほど前にステロイドと同じ効果で副作用の少ない免疫抑制点眼薬が開発され、現在は重症型でもリスクの少ない治療が可能になっています。


―アレルギー性結膜疾患の患者は多いのでしょうか。

 日本は世界的に見てもアレルギー性結膜疾患患者が多いと言われています。スギやヒノキなどの植物が多いことや、黄砂やPM2・5などによる大気汚染が進んでいることが大きな要因です。

 また、アレルギー性結膜疾患患者の約7割は鼻炎を伴っています。重症になるとアトピー性皮膚炎や喘息を患うなど、複数のアレルギーを合併している人が多いのです。

 しかし、合併した症状をすべて一度に診るアレルギー専門医はいません。内科や小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科の医師がそれぞれ治療を施すケースがほとんどで、薬も各診療科が処方しています。

 こうした背景から、近年一人の医師が広範囲のアレルギーによる症状を診療できるようにするための取り組みが始まっています。日本アレルギー学会は、内科、小児科、皮膚科、耳鼻科、眼科のアレルギーを横断的に学ぶ講習会を年に1度開いています。

 また、今年からは地方単位の学会が始まりました。九州・沖縄では5科の医師が福岡に集まり、アレルギーについての発表や討論、情報交換を実施しました。アレルギーについての勉強会は、ここ最近になって活発化してきたところです。


―福岡大学での現在の取り組みを教えてください。

 3年ほど前からPM2・5が目に与える影響の研究を続けています。

 特殊な培養液で角膜の黒目に近い状況を試験管内につくりだし、そこにアレルゲンを入れたときにどのような反応が出るのか、その結果を見ています。

 理学部の大気汚染物質を研究している先生と、大学院生らと合同で実施したところ、やはりPM2・5はアレルギー性結膜疾患をはじめ、さまざまなアレルギー反応を起こす原因物質であることが明らかになってきました。 

 現在はこの結果をもとにPM2・5によるアレルギー反応を目薬で予防するための研究を進めています。


―今後の展望を。

 現在、日本アレルギー学会の専門医の資格を取得している眼科医は全国でおよそ20人。日本アレルギー学会の専門医が全部で3600人ほどいることを考えると、かなり少ないと言えると思います。

 数年前に比べると眼科医でアレルギー専門医を取得する医師の数は増加していますが、資格取得までに時間がかかることなどが原因で、まだまだ発展途上の状況が続いています。アレルギーを専門とする眼科医の育成にも、力を入れていきたいと思っています。


福岡大学医学部 眼科学
福岡市城南区七隈7―45―1
☎092―801―1011(代表)
http://www.med.fukuoka-u.ac.jp/ophtha/


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