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アルツハイマー病の発症を予測し、予防へ

アルツハイマー病の発症を予測し、予防へ


長井 篤 教授(ながい・あつし)

1988年島根医科大学医学部(現:島根大学医学部)卒業。
同附属病院、同臨床検査医学講座教授などを経て、2019年から現職。
しまね認知症疾患医療センター長兼任。

 脳神経内科、膠原病内科、血液内科の領域を扱う島根大学の内科学第三講座。特に認知症においては県内の基幹認知症疾患医療センターの役割も担う。同センター長を務め、2019年9月には教授となった長井篤氏に、就任に当たっての抱負を聞いた。

熱意あふれる恩師の影響を受けて

 脳神経内科を目指したのは、学生時代に出会った、ある恩師の影響だった。

 「当講座の2代目教授であり、学長も務められた小林祥泰先生は、私が学生の頃は講師という立場でした。脳神経内科医と言うと、冷静に分析するイメージがあるのですが、先生はとにかく熱心で、議論も非常に活発でした。そんなアグレッシブな先生に多大な影響を受けて、脳神経内科医の道を目指すことになったのです」

 小林氏は、日本初のMRIによる脳ドックを創設し、脳卒中医療の発展に大きく貢献した人物だ。小林氏が築いた、時代の先を行く取り組み、そして気風は、今も講座に息づいている。

 「現在は、脳ドックを発展させ、軽度認知障害患者のMRIのデータをAI(人工知能)に深層学習させることで、アルツハイマー病の発症予測ができないかという研究に取り組んでいます。教室は若い人が多く、意欲にあふれています。彼らの適材適所を見極め、スムーズな臨床や研究を行える環境を整えることが、今後の発展にもつながると思っています」

脳卒中と認知症 二本柱に懸ける思い

 2019年9月に、島根大学医学部臨床検査医学講座教授から内科学第三講座の教授へ。内科学第三は、脳神経内科、血液内科、膠原病内科が専門だ。自身に求められているのは、時代への即応と捉えている。

 「高齢者を取り巻く環境が大きく変わってきており、しっかりと対応していく必要があります。その中でも、二本柱となるのが脳卒中と認知症です」

 島根大学では、高度脳卒中センターの設置に向けての取り組みを始めている。

 「実現に向けて、まずは急性期から慢性期まで、多職種で編成するチーム医療に取り組んでいます。病院に来るまで対応に当たる救急隊や院内の他科との連携、回復期以降をお願いする地域医療機関との連携も、さらに強めていきたいと考えています」

 認知症の診療は、2015年に附属病院内に設立された「基幹型認知症疾患医療センター」で対策に当たっている。

 「地域型・連携型認知症疾患医療センターの病院、かかりつけ医や介護を含めた地域包括ケアセンターと協働し、ようやくすべての圏域をカバーできるようになりました。基幹型である島根大学は、その要として全体をサポートしていきたいと思います」

発症を予測し予防していくために

 島根県の脳神経内科の分野をさらにレベルアップさせたい。そんな思いを持ち続けている。キーワードは〝連携〟だ。

 「教育も、地域との協力関係も、まだ整っていません。これからはもっと周囲を巻き込んで連携していかなければならないと強く感じています。一人の力はわずか。多くの人の力が集まることで大きなことができる。医学部に限らず、島根大学全体で取り組むプロジェクトもあります。お誘いを受けたら、積極的に協力していく方針です」

 かつての恩師から影響を受けた熱い思い、時代の先を行く精神が、その根底にある。

「脳神経内科は難治性疾患が多い領域です。発症してからの治療も大切ですが、発症を予測し、発症そのものを防ぐ予防の研究は不可欠です。その実現に向けて、一歩一歩、近づいていきたいと思います」

島根大学医学部内科学講座 内科学第三
島根県出雲市塩冶町89─1  ☎️0853─23─2111(代表)
https://www.shimane-u-internal3.jp/

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