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アプリと”直電“で迅速処置が可能に

アプリと”直電“で迅速処置が可能に

独立行政法人労働者健康安全機構 長崎労災病院 脳神経外科
北川 直毅 部長(きたがわ・なおき)

1988年長崎大学医学部卒業、同脳神経外科入局。長崎労災病院、長崎大学病院講師、
済生会長崎病院救急センターセンター長などを経て、2016年から現職。

 長崎労災病院は、佐世保市北部を中心に長崎県北部から佐賀県西部までカバーする地域の中核病院だ。同院の脳神経外科は、県下でもより高度な治療を行う医療機関として「地域脳卒中センター」に認定。近年の脳卒中治療で重要視される「時間的制約」に、さまざまなシステム導入で立ち向かう。

―脳神経外科ダイレクトコールとは。

 脳卒中医療は、まさに時間との闘い。3~5分で1%ずつ状態が悪化すると言われています。これまでは患者さんが運び込まれた後、専門医に連絡が届くまで1時間以上かかっていました。血栓溶解薬は搬送から1時間以内に投与しなければならないというのが当院の指標ですが、まったく間に合っていなかった。

 そこで、「脳神経外科ダイレクトコール」の運用を開始しました。これは脳卒中が疑われる患者さんの搬送時に、救急隊から脳神経外科医に直接連絡を入れることができるシステムで、搬送から治療開始までにかかる時間が格段に短縮されました。

 前もって病状が知らされるので、スタッフや機器を確保し、患者さんの到着後にすばやい処置を施せるのです。当院では、ドクターヘリからのものも含め、月約15件のダイレクトコールに対応しています。

 また、医療関係者同士でCT、MRI、心電図などの医用画像を共有でき、チャット機能も備えているスマートフォン用アプリ「Join」を導入しました。

 例えば、すでに帰宅した医師に病院から画像が送られてくると、当直の先生へ治療の指示を、自宅から出すことができます。

 大都市の病院は専門医が常に待機できる体制だと思いますが、当院では4人で回しているのが現状です。
佐世保のような医師不足の地方都市では、このようなシステムが今後ますます必要になるでしょう。


―脳卒中はリハビリも重要です。貴院の取り組みは。

 当院は、開院当初からリハビリに力を入れています。超早期から訓練を行うのが特徴で、足が動かない状態から装具を使って立ったり、歩いたりするところから始めます。

 食事もなるべく経口摂取を指導しています。そうすることで、退院後のQOLがかなり改善します。病院独自のプログラムというものはなく、1週間に1度リハビリの先生たちとミーティングを行い、患者さんそれぞれの症状や家庭環境に合わせたゴールを設定しています。


―医療職への脳卒中教育に力を入れていますね。

 ISLS(Immediate Stroke Life Support)委員会のプログラムにのっとって、専門医以外の医療従事者が脳卒中の初期診療が行えるようにトレーニングするコースを実施しています。

 長崎では私がコースディレクターとしてとりしきり、これまで40回ほど開催しています。看護師や他のスタッフにも知識を持っていただくことにより、処置をすばやく行うことができるというメリットがあります。他にも外部から講師を招き、心肺蘇生、災害医療、外傷、やけどなど救急医療の勉強会を開いています。

 若い医師の教育も大切ですね。手術は体力と気力が必要なので、若い人の方が向いているというのが私の実感。症例をどんどんこなし、経験を積んでもらいたいですね。

 外科医にとって不可欠なのは「心」です。外科医は、手術が思い通りにいかないことが必ずある。そこで心が折れてしまうと、メスを握れなくなります。

 日々、反省をしつつも、今度はこうしようと考え、心を鍛えないといけません。手先の器用さはそれなりでいい。リラックスして手術に臨み、いい仕事をしてほしいと考えています。

 そのために、私たちも「勝手に見て育て」というのではなく、ハードとソフト両面でしっかりサポートし、若手を育てていきたいと思っています。


独立行政法人 労働者健康安全機構 長崎労災病院
長崎県佐世保市瀬戸越2―12―5
☎0956―49―2191(代表)
http://nagasakih.johas.go.jp/

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