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アクティビティーを上げ、理想の病院をつくる

アクティビティーを上げ、理想の病院をつくる


院長(こん・あきひで)

1983年自治医科大学卒業。
倉石村国保診療所所長、青森県立中央病院救命救急センター外科、
川口市立医療センター救命救急センター、八戸市立市民病院救命救急センター所長などを経て、
2017年から現職。

 ドクターヘリやドクターカーを導入し、地域の急性期医療に大きく貢献している八戸市立市民病院。その救急システムをほぼ1人で構想し、実際に立ち上げたのが今明秀氏だ。現在は院長として、救急医療だけでなく地域の人口減少問題なども念頭に置きながら、魅力ある病院づくりに取り組んでいる。

―ドクターヘリを導入した経緯について教えてください。

 私はへき地医療を充実させたいと考え、2004年、当時当院唯一の救急専従医として赴任しました。それ以前、当院の救命救急センターは医療体制が十分に整っておらず、青森県全体でも同じような状態でした。何かあっても「仕方ない」と諦めることが多かったのです。私はそのような状況を解決したいと思い、ドクターヘリを導入するための活動を開始しました。

 しかし、ヘリに乗る医師やスタッフの確保、地域の理解、そして法律の整備など、乗り越えるべき壁はさまざま。いざ導入できそうな段階になっても、病院間や行政面での調整の部分で難航しました。

 それでも関係各所の協力を得て、2009年から当院でドクターヘリを運用することが決定。現在は年間で約500件の出動があり、病院前救護に大きな役割を果たしています。

―さらにドクターカーも運用していますね。

 日没や天候の問題などがあり、ドクターヘリでの救護には時間的な隙間が生じます。それを解決するため、2010年にドクターカーを導入しました。ドクターヘリが出動できない場合や、機動性がより求められる場合はドクターカーが現場へ出向き、救急隊と協力して必要な処置を行います。

 また、2016年に手術機能を備えたドクターカー「V3」の運用を開始したことで、さらに病院前救護が円滑になりました。例えば、患者さんを乗せた救急車が当院へ向かう途中にドクターカーと合流、そこで初期治療している間に「V3」が駆けつけ、高度治療を施すという作戦も行っています。現在、ドクターカーの出動回数は年間約1500件、V3は緊急度が高い場合のみ出動するため年間約3件です。

―職員の教育については。

 病院の将来を決めるのは、若い医師や看護師の「アクティビティー」。仮に少ない人数でも、若者の元気があれば、病院の体力や魅力を上げることができます。

 このアクティビティーを上げるためには教育が不可欠と考え、当院では講義や実習に重きを置いて後進の育成に取り組んでいます。「若干時間がかかっても容認しながら育てる」ことを意識していますね。

 また、初期研修の募集人員19人のうち2人は産婦人科プログラムで受け入れています。これは産婦人科医の減少を食い止めると同時に、救急医療も身につけた医師を増やす狙いです。

 お産時に予期せぬ緊急事態が発生しても対応できるよう、研修では救急医療もしっかりと学んでもらっています。

―今後の展望について聞かせてください。

 現在、地方は人口減少が顕著です。その要因はさまざまですが、中でも若者の流出が大きい。地元に仕事がないため、都会へ行かざるを得ません。つまり、人口減少に歯止めをかけるには、まず地域内での就職先の確保が重要です。

 当院では総勢約1500人が働いており、すでに雇用面で大きな役割を担っています。しかし、地域のためには、さらに前へ進みたい。その施策の一つとして、当院に関わるすべての人から「病院が元気になるアイデア」を募集し、今まで誰もしたことがないチャレンジ、改革をしたいと考えています。

 病院の魅力にさらに磨きをかけることで、今後も医師や職員が数多く集まり、地域全体が盛り上がることを期待しています。

八戸市立市民病院
青森県八戸市田向3─1─1
☎0178─72─5111(大代表)
http://www.hospital.hachinohe.aomori.jp/

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