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より良い医療をより近くで提供する

より良い医療をより近くで提供する

 長田 直人 理事長・院長(ながた・なおと)
1980年宮崎医科大学医学部(現:宮崎大学医学部)卒業。
宮崎県立日南病院麻酔科・集中治療室室長兼部長、
宮崎大学医学部地域医療学講座教授などを経て、2015年から現職。


 2018年、日本脳卒中学会研修教育病院の認定を受けた西都児湯医療センター。2021年度には、新病院のオープンを予定する。教育病院の認定を取得した背景や描く病院の未来像を聞いた。

―「認定研修教育病院」の登録を受けた経緯は。

濵砂亮一副院長

濵砂亮一副院長(以降、副院長) 直近の6年間で見ると、西都市の脳疾患による救急搬送のうち60%、周辺の児湯郡(5町1村)の脳疾患の救急搬送の45%を当センターで受け入れています。

 ただ、裏をかえせば、地域の脳疾患患者の半数を、搬送時間が30分以上かかる周辺地域の医療機関にお願いしているのです。発症から初期治療を開始するまでの時間が短いほど、予後が良いとされている脳血管疾患への対応力を上げるには、マンパワーがどうしても必要です。

 トレーニング機関としての機能を強化し、それを広くアピールすることで、優秀な脳神経外科医を育成、確保していくことを目指して、日本脳卒中学会の「認定研修教育病院」の認定登録を受けました。

長田直人理事長・院長(以降、理事長) 当センターがある西都市では、現在約3万人の人口が、25年後には2万人に減少すると予測されています。行政の予測では、25年後、その高齢化率は、全国平均をはるかに上回る39%になるとの推計もあるほどです。

 この地域の高い高齢化率により、今後、人口が減っても脳卒中患者は減らないと推測されます。地域からのニーズの高い脳卒中疾患を専門とする医師をこのセンターで育てていく必要があります。


―そのほかに計画は。

理事長 西都児湯エリアにおける2013年度のがんの新規罹患患者は1753人、死亡数は176人でした。患者の医療圏外流出率は77%。ほとんどの患者さんは、圏外で終末期を迎えます。遠方の医療機関にかかることは、高齢人口が多いこの地域では特に、患者さんや家族にとって大きな負担になります。

 診断・治療はもちろんですが、地元で家族に囲まれながら最期の時を過ごしていただけるようにすることも、われわれの大切な役割です。そこで、建設予定の新病院では、6ベットを備える緩和ケア病棟の設置を目指しています。

 これは「より良い医療をより近くで提供する」公的医療機関としての役割を果たすために必須と考え、強く推し進めていきたいと考えています。

副院長 2013年、この病院にいる医師が私一人になった時、「この地域から病院をなくしてはいけない」という思いで、1445人の夜間外来と7882人の一般外来、572人の新規入院を受け入れました。「目の前の人を助けたい」。それが私の医師を志した原点であり、これからも変わらない思いです。

 宮崎県内は、南海トラフ地震が発生した場合の最大震度が7、津波高の最大値は17㍍と想定されています。当センターがある西都市は、宮崎県の内陸部にあり、津波の影響を受けないと予測されています。

 そこで、これからは、災害医療についても一層、力を入れていきたいと考えています。

 この地域の医療機関に対して、県内の沿岸平野部で被害が発生した場合の後方支援病院としての役割を伝えたり、「広域災害救急医療情報システム(EMIS)」の活用について積極的に情報提供をしたりといった地域と連携した「備え」も、ますます欠かせないと思っています。


地方独立行政法人 西都児湯医療センター
宮崎県西都市妻1550
☎0983─42─1113(代表)
http://www.skmc.jp/



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