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やめられないギャンブル 病的なインターネット利用… 相談・治療・回復支援の体制整備へ「依存症対策」

やめられないギャンブル  病的なインターネット利用… 相談・治療・回復支援の体制整備へ「依存症対策」

  海外を中心に「インターネットの過剰な利用」によるさまざまなトラブルが報じられ、統合型リゾート(IR)の整備が計画されている日本ではギャンブル等の対策の強化が進む。国は「」の早期の発見と治療、予防法の確立に向けて本格的に動きだした。現代社会を象徴するキーワードの一つを取り巻く状況について整理した。

基本計画案が公表 医師の育成にも影響

 過去の経験も含めて、国内の「ギャンブル等依存」が疑われる人の割合は、成人の3・6%、およそ320万人─。

 2017年9月、厚労省は全国調査の結果を公表した。調査の時期にバラツキがあるため単純な比較はできないが、米国1・9%(2001)、オランダ1・9%(2006年)、フランス1・2%(2011年)など、諸外国と比較して高いとされる。

 「」が成立し、全国で最大3カ所のIRの整備が予定されている。

 カジノなどの影響によって依存症の増加が懸念される中、2018年に「ギャンブル等依存症対策基本法」が施行。今年、国は「」を設置し、この3月に検討用の「」が公開された。

 相談、治療、回復支援として、都道府県、政令指定都市における早期の相談拠点の整備、また、2020年度までをメドに専門医療機関、治療拠点機関を整備するとしている。

 2019年度中に標準的な治療プログラムの確立に向けたエビデンス構築、全国的な普及のための調査研究を実施する。

 医師の育成のあり方も変わりそうだ。2022年度までに「800人以上の臨床研修医がギャンブル等依存症例を経験」できるよう、臨床研修病院での指導体制も見直す。

意志の弱さだけが原因ではない

 依存症はアルコール、薬物、ギャンブルなど「特定の何かに心を奪われ、やめたくてもやめられない」「ほどほどにできない」状態にあることを指す。

 昨年、WHO()がゲームへの依存も国際的な「病気」と認定し、インターネットやSNSといったツールとの付き合い方が改めて問われている。

 寝食や学業、仕事などよりもゲームやインターネットの利用が優先され、健康を害したり、社会生活に支障を来したりするケースもある。

 厚生労働省研究班が2018年に公表した調査結果(「飲酒や喫煙等の実態調査と生活習慣病予防のための減酒の効果的な介入方法の開発に関する研究」)によると、中高生の14%、93万人が「インターネットの病的な使用者」という。

 使い過ぎで発生した問題として際立って高かったのは「授業中の居眠り」「成績低下」。続いて「遅刻」や「友人とのトラブル」が目立った。

 インターネット依存に関する診断は米国の心理学者であるキンバリー・ヤング博士が作成した8項目、20項目の2種類の診断基準などが用いられているが、国際的な基準はまだない。

 依存症は早期の支援、治療が重要だ。適切な介入によって回復が期待できるものの、支援体制が十分でなく、サポートが行き届いていない。また、依存症に対する国民の理解も深まっていないため、予防への意識も高まりにくい。

 いまや個人のインターネット利用はスマートフォンがパソコンを上回り、「いつでも・どこでも」オンラインサービスを楽しめる環境がある。個人のインターネット利用率は80・9%、13歳から59歳の各階層で9割を超えた(総務省「平成30年版情報通信白書」)。

 2008年のデータを用いた厚生労働省研究班の推計によると、アルコールの飲みすぎによる経済的損失が4兆円を超えるなど、依存症は社会に与えるインパクトも大きい。市民と一体となって診療に取り組める医療者の育成が不可欠だ。


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