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まっとうな臨床能力を育てるために

まっとうな臨床能力を育てるために


教授(かなざわ・てつふみ)

2000年大阪医科大学卒業。米カリフォルニア大学サンディエゴ校、
小曽根病院、豪メルボルン大学精神科准教授などを経て、2020年から現職。

 時代に即した専門知識・技能と、患者への優しい態度を併せ持つ「まっとうな臨床能力を持った精神科専門医」を育てること。教室が創設以来掲げてきたこの信念を、金沢徹文教授はいかに受け継ぐのか。

外科から転向 精神科医の道へ

 「周りの人たちに恵まれていたと思います。顔もこんなやし、体もごっついから、よく怖がられます」と、就任にあたっての感想を冗談混じりに話す金沢教授。「どうやったらオモロイか、つい考える癖があります。大阪の人間ですね」と、自己分析する。

 幼少期から「手に職を持て」と言われて育った。せっかく目指すなら「弁護士か医者を目指そう」と心に決め、医学部に進学。夢への一歩を踏み出す。

 柔道で鍛えた体格を生かし、大学はラグビー部で活躍。先輩からのアドバイスもあり、「なるなら外科医やな」と、卒業後は消化器外科に入局する。

 ところが、2年ほどで自分に限界を感じたと言う。いくつかの科から誘いを受けたものの考えた末、現在の教室へ。以来、国内外で臨床と研究の道を歩んできた。「今も精神科が向いているかどうかは分かりません。ただ、この分野への興味は尽きないですね」

口癖は「明日も元気」

 生物学的研究だけでなく、心理学的研究、社会学的研究など多様な側面から成り立つのが精神科。臨床、教育、研究をバランスよくという教室の伝統は、自身の信念とも通じている。

 さらに、教室創設以来、大切にしてきた、今の時代に即した〝まっとうな臨床能力を持った精神科専門医〟を育てるためには、医師自身の精神も、健康に保つことが重要と語る。

 よく口にするのは「明日も元気」という言葉。「無理が続くとええことない。明日も明後日も患者さんの治療を続けるために、元気でいようと話しています」

看護師を交えたカンファレンス

 金沢教授が一目置くのは、病棟看護師たちだ。「あらゆる患者さんに対し、丁寧に接している。自分の親も入院させたいと思うし、彼女らの背中を見て学ぶことは多いですね」

 医師とは違う視点を取り入れ、医局全体のバランスを保っていきたいという思いから、就任後、医局のカンファレンスには看護師長の参加をお願いした。実際に、議論が活発化し、方針を共有できるなど多くのメリットをもたらしている。「医師が仕事に集中できるのも受付、秘書、事務、実験助手や掃除、給食を運ぶ人、みんながいてこそ。一つのチームです」

子どもたちのために

 忘れられない患者がいる。「初発から10年以上診ていた統合失調症の青年です。大学で法律を学び、将来は新聞記者になりたいという目標を持っていましたが、病気は夢も希望も根こそぎ奪ってしまいました。自分に何ができるか、考えさせられましたね」

 未来ある若者をサポートしたいと、現在は思春期の子どもを専門に診療する。患者には、虐待やいじめで心に傷を負った子も多い。「そんなときに、ちゃんと心を通わせられる大人がいるかどうか。大切なことです」

 心掛けているのは、その子の特性を理解し、礼節を持って対応すること。「真剣に自分のことを考えてくれる大人がいることで救われた経験が、私にもあります。私たちは、そんな医師にならなければならないと思っています」

 大人たちが働いている世の中は、捨てたものじゃない―、そう思ってもらえたらと考えている。「子どもたちに、社会への信頼を失わせてはいけないのです」

大阪医科大学総合医学講座 神経精神医学教室
大阪府高槻市大学町2ー7 ☎️072ー683ー1221(代表)
http://psyomc.com/

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