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へき地医療と地域連携で医療の谷間に灯をともす

へき地医療と地域連携で医療の谷間に灯をともす


管理者(たけとみ・あきら)

1983年自治医科大学医学部卒業。
同医学部人類遺伝学教室研究員、方城町立診療所所長、
筑豊労災病院(現:飯塚市立病院)内科部長などを経て、2008年から現職。

 地域医療の厳しさが増す中、へき地への医師派遣や地域の主な医療機関との連携づくりなど、地域医療の改善を先頭に立って進めている飯塚市立病院。その牽引役である武冨章管理者に話を聞いた。

―へき地医療について。

 「飯塚市立病院」は、公益社団法人地域医療振興協会が市から運営・管理を委託されている病院です。当協会は自治医科大学建学の精神を受け継ぎ、全国のへき地医療も担っています。

 日頃は飯塚市立病院で診察に当たっているドクターが、糟屋郡の相島や宗像の大島といった離島の診療所に定期的に代診に行っています。代診は年間総数200日ほどにもなります。

 専門医として勤務していても、島の診療所では総合診療医としての視点が必要です。若いドクターの中には代診医として通ううちに、例えば医療以外でも島に住む人たちと触れ合うことで、自分自身の成長を感じる人も多くいます。

 彼らには常々、「総合的に診ること、病気を診るのではなく地域を診る、人を診ることが大切」と話していいます。そのことを実感してくれているのだと心強く思っています。

―地域包括ケアでの取り組みは。

 2019年、厚生労働省が病院の再編・統合を検討すべきと全国424カ所の病院名を挙げました。筑豊地区では4カ所、当院も含まれていました。この評価に驚きましたが、一方で実績過小と評価された項目を中心に、病院全体の評価を上げる対策の強化が必要だと感じました。

 また、院内を再編し、リハビリ病棟の充実を目指しています。前身が筑豊労災病院だった当院には、十分な機能を有するリハビリ室があります。現在、急性期150床、回復期リハビリ病棟50床、地域包括ケア病棟50床の計250床で運営しています。この地域に回復期が少なかったこともあり、在宅復帰に貢献できると思っています。

 また飯塚医師会やほかの拠点病院と協力して、筑豊地域を5ブロックに分割。各ブロック内の幹事病院を中心に、地域内の医療や介護福祉の関係者たちの連携を目指す協議会が、2016年にスタートしています。この協議会を核として、回復期と急性期との連携、拠点病院と開業医との連携、ケアマネジャーや地域の介護サービス事業者との連携などの強化を、さらに進めなければなりません。

 各ブロックでは研修会も年2回行っています。医療従事者だけでなく、ケアマネジャーや社会福祉士ら福祉関連の専門家、警察、消防、行政などが参加。さらに地域の民生委員の参加が特徴です。民生委員に来ていただくことは、住民参加型の地域医療という点で大きな意味があります。行政、医療、介護、そして住民がつながることで、地域包括ケアのシステムが機能します。

―今後は。

 へき地医療の支援は当院のミッションです。「いつもは病院、時々へき地」と、代診医には病院とへき地をつなぐ役割を担ってほしい。地域医療の現状を知ってもらうため、総合診療専門医の研修も積極的に受け入れる計画です。

 救急医療については、当院では2次救急の態勢が整っています。「飯塚市立病院へ運んでください」と言ってもらえるように努めていきます。

 域内には後継者問題を抱える開業医も多くあります。その支援のために、当院で手術を受けられた患者さんを中心に、在宅に戻られた場合、当院から訪問診療や訪問看護ができないかと検討中です。体制が整えば、開業医の皆さんの負担軽減につながると期待しています。

 当協会の「医療の谷間に灯をともす」というポリシーを胸に、今後も地域医療に貢献する病院でありたいですね。

公益社団法人地域医療振興協会 飯塚市立病院
福岡県飯塚市弁分633―1
☎0948―22―2980(代表)
https://iizukacityhp.jp/

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