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すべての新生児のために医師の力を結集したい

すべての新生児のために医師の力を結集したい

総合周産期母子医療センター
講師(たかはし・かずまさ)

2003年山口大学医学部卒業。長門総合病院小児科医員、萩市民病院小児科科長、
山口大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター助教などを経て、2017年から現職。

 NICU(新生児集中治療室)やGCU(新生児回復期治療室)などを備える山口大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター。新生児医療を専門とする高橋一雅講師は「高度で繊細な新生児医療を提供するために、県内の医師の力を合わせたい」と語る。

―センターの役割を教えてください。

 実は医師でも、周産期母子医療センターがどのような医療を行っているのか知らない人は多くいるんですよ。

 一般的には、妊婦と胎児の治療は産婦人科が、新生児は小児科が診ます。しかし、どちらも周産期の治療なのに科が分かれていると、隔たりができてしまい治療の連携がスムーズに進みません。周産期母子医療センターでは、妊婦、胎児、新生児を一貫して治療しているのです。

 山口県内には六つの周産期母子医療センターがあり、「総合周産期母子医療センター(以下、総合)」と「地域周産期母子医療センター(以下、地域)」の二つに分けられます。

 「総合」は当院と山口県立総合医療センター。「地域」は岩国医療センター、徳山中央病院、綜合病院山口赤十字病院、済生会下関総合病院、そして当院。当院は「総合」「地域」のどちらも担っているのが特徴です。

 「総合」「地域」は県によって指定され、役割、機能、体制が異なります。前者は地域における中核的な役割を果たす施設として、各地区の重症患者を診療。

 地域で対応が難しい患者、特殊なケースなどは「総合」で受け入れます。重症妊産婦・新生児への高度な医療提供、搬送体制の整備、周産期医療を担う人材の育成など、総合的な役割を担います。

―新生児医療の現状についてどう感じていますか。

 集中治療が必要な新生児は、1000グラムを切る早産児、呼吸や心臓の働きがよくない新生児など、さまざまです。以前は助けられなかった命が、ここ15〜20年ほどの医療の進歩によって、助けられるようになりました。

 NICUではとても繊細な治療をしています。例えば検査のために散瞳薬を点眼することがあります。早産児や低出生体重児の場合、点眼薬の副作用によって呼吸が止まったり、血圧が低下したりということがあります。いかに新生児に負担をかけずに治療できるかが重要なのです。

 「1時間に2.5ml」という極めて微量の範囲内で糖、電解質に加え、循環作動薬や中心静脈栄養を加味した輸液をすることもしばしばです。医師、薬剤師、看護師がそれぞれの役割に応じて非常に繊細な輸液業務を行い、患者さんのために適切な医療を提供しています。

 他にも大学ではさまざまな治療が可能です。例えば空気よりも低い酸素濃度の空間でしか生き延びられない新生児や、透析、一酸化窒素吸入療法が必要な新生児などを受け入れます。小児科医のなかには、腎臓、内分泌、神経などを専門とするエキスパートがそろっています。豊富なマンパワーで専門的な治療ができるのが大学の強みです。

―新生児用の救急車が配置されると聞きました。

 今年度内の運用を目指して準備中です。今までは、担架の上に保育器を乗せてロープで縛り付けて運んでいたんですよ。新生児に負担をかけてはいけないのにリスクが大きく、車内での治療も難しい。新生児救急車には保育器が設置されます。さらに、酸素と空気の配管があり、酸素濃度を調整できるのです。

 新生児救急車を置いている都道府県は少なくなく、山口県との協議を重ねてやっと配置が決定しました。県や他の周産期母子医療センターとの結束を固め、新生児医療の環境をより充実させたいと思います。

山口大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター
山口県宇部市南小串1―1―1
☎0836―22―2111(代表)
http://www.hosp.yamaguchi-u.ac.jp/section/48.html

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