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しっかりとしなやかに新しい地域密着型病院へ

しっかりとしなやかに新しい地域密着型病院へ


新潟県十日町市高田町3丁目南32-9 ☎025ー757-5566(代表)
http://www.tokamachi-hosp-niigata.jp/

 約6万3000人が暮らす魚沼医療圏の妻有地域で、2次救急を担う新潟県立十日町病院。2014年から続いた建て替えを終え、2020年9月11日に全棟開院を迎えた。地域の医療ニーズに応える新病院の特徴と今後の展望について、吉嶺文俊院長に話を聞いた。

◎中越地震を契機に現地建て替えを決定

災害時を想定し、医療ガスなどを設置した講堂

 病院改築を後押ししたのは、2004年10月の新潟県中越地震。十日町市の一部は最大震度7を経験した。「当院では、柱にひびが入るなどの被害がありました。余震が続く中、患者さんを全員外に避難させて、安全確認後に院内に入れるという状態だったそうです。県にとっても、この地震は災害意識を大きく変えるものでした」と、吉嶺院長。

 移転新築案もあったが、雪の影響やアクセスを考慮して、同じ場所での建て替えが決定。救急から回復期まで、地域完結型医療を目指した実施計画が策定され、2014年に着工した。

◎豪雪と災害の経験を病院建設に生かす

 順次改築を終え、9月に全棟開院した新病棟は、地上7階建て、全275床。免震構造を採用し、緊急時に備えて、講堂やエントランスは災害時のトリアージや診療のスペースとして活用可能。発電機や受水・排水槽、防災倉庫などを設置し、インフラ停止時にも自立運営が可能な造りだ。

 高齢化に対応した診療機能の充実も図られた。救急をはじめとする急性期医療の拡充と同時に、リハビリテーションセンターや生活習慣病支援センターを設置し、回復期以降の医療にも対応。在宅復帰を支援する地域包括ケア病床を設置し、現在は未運用ながら緩和ケア病床も用意されている。

 また、年間2000件の救急を受け入れる同院では、地域消防本部と連携して救急ワークステーションを設置。ドクターカーを兼ねた高規格救急車と救急救命士が常駐し、救命士の病院実習拠点にもなっている。

 療養環境を改善するため、個室数は従来の約4倍となる80室になり、多床室は6人室から4人室に変更。院内では、患者利用エリアと医療スタッフ専用エリアのゾーニングを行い、動線の効率化を目指している。

 利用者の利便性向上も図られた。今後行われる外構工事では病院正面に患者用駐車場を整備。冬季に備えて、屋外駐車場の全面に消雪パイプを敷設し、正面玄関にひさしや雁木(がんぎ)通路を設置して、雨雪対策を行う予定だ。

◎救急医療と包括ケアを二つの柱に据えて

 同院はかねて地域の市町村から要望を受けていた高度救急医療の提供や、医療人材の確保などに取り組んできた。2005年から院長を務めた塚田芳久氏は、災害派遣医療チーム(DMAT)組織など災害・救急医療を拡充し、臨床研修システムの基盤を確立。2016年に就任した吉嶺院長は、改築を機に地域医療のあり方を模索している。

 「療養環境などが整った今だからこそ、病院の中身が問われます。医療再編の中で『しっかりと救急医療をこなし、しなやかに包括ケアを支える』という目標に向かって、地域の中核病院としての役割を果たしていくつもりです。周辺の病院や診療所と連携し、一体となって地域医療提供体制の構築を進めていければと考えています」

 人材確保については、2020年度は3人の研修医を迎えた。「新潟大学医学部との関わりが深く、同大学の総合診療実習を、毎年40人程度受け入れていることが大きいと思います」

吉嶺文俊 院長

 新潟県は医師偏在指標が日本一低く、医師が少ない。「医師が少ないから、良い医療ができないわけではないと思います。本県ならではの良い医療を自覚して、発信していきます」

 地域を知り、必要とされる医療を提供する。現地建て替えによる新病院という推進力を得て、その着実な歩みは止まることがない。

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