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さらなる強い組織に

さらなる強い組織に


病院長(いいはら・こうじ)

1987年京都大学医学部卒業。
国立循環器病研究センター脳血管部門長、九州大学大学院医学研究院脳神経外科教授、
同大学病院病院長補佐などを経て、2020年から現職。

 心臓病や脳卒中などに特化した高度専門医療機関の国立循環器病研究センター病院。就任した飯原弘二病院長も、脳血管障害が専門の外科医として、長く同センターで経験を積んだ。「設立時の原点に立ち返り、組織力を高めたい」と抱負を語る。

コロナ禍中の着任

 病院長に就いたこの春、世界は新型コロナウイルスの感染拡大で騒然としていた。外出もままならない日々。「新任者としてあいさつに回るべき人の所にも足を運べない。もちろん、懇親会もできませんし」と苦笑する。

 だが、会議や飲み会を重ねるより、困難な仕事にいっときでも共に向き合う方が、一体感は生まれるものだ。ましてや、未曽有のコロナ渦。着任早々、大阪府の要請に基づく病床確保などの対応に追われた。5月半ば時点でも、1日40件ほどのPCR検査を手掛ける。

 もともと循環器疾患の重症患者が多い同病院。「新型コロナへの的確な体制について、多くのスタッフと真剣、かつ濃密に話し合えました。大変な事態は続きますが、院内のコミュニケーションは良い方向に進んでいると感じています」

 同病院や研究所などで構成する国立循環器病研究センターは2019年7月、近隣地から現在地に全面移転した。吹田市や摂津市などが開発する「北大阪健康医療都市」の一角だ。「診療も研究も規模を増し、設備や環境も素晴らしくなったと思います」

 2019年末、脳卒中・循環器病対策基本法が施行。国全体の循環器病の診療レベル向上が期待される。「『世界に冠たるエクセレント・ホスピタル』 を目指し、スタッフ一丸で新たな一歩を踏み出したい」と意気込む。

医学の道か、法曹の道か

 働き盛りの時代を国循で過ごした。37歳から50歳にかけて医長や部長として臨床に当たり、一時期は教育・研修部門長も兼ねた。難しい症例の手術、他機関との共同研究、最新治療の導入…。早朝から翌朝まで、手術にかかることもざらだった。「臨床、研究、教育。全てに没頭できたエキサイティングな日々でした」

 大阪市出身。開業医をしていた亡き父の影響で、外科医を志す。「高校2年生ごろまでは、進路を迷っていたんです。弁護士もいいなって」。刑事弁護士が活躍する当時の米国の探偵小説に感化されたのだという。

 最終的には医師を目指した。父から聞かされていた脳神経外科医の菊池晴彦氏(国立循環器病センター総長などを歴任)に憧れ、同じ道を志望。菊池氏がちょうど着任した年に京都大学に進み、菊池門下の1期生として学んだ。また、父の仕事ぶりからも、患者への公明正大な態度を教えられた。

前向きに組織力向上を

 脳外科医として緊張と隣り合わせの日々。リフレッシュ策は筋力トレーニングだ。休日にジムに行き、バーベルを使ったグループプログラムに加わる。スクワット、ベンチプレス、デッドリフト。「かなりきつい」1時間のメニューをこなす。

 新型コロナの影響でジム通いは中断中だが、忙しいときほど、何も考えず体を動かす時間は欠かせない。「気持ちもぐっと前向きになる。周りからは『それ以上前向きになってどうする』と言われますが」と笑う。

 座右の銘は「一隅を照らす」。天台宗の開祖、最澄が残した。「置かれた状況でベストを尽くすことが大切」との意だ。京都での医学生時代、比叡山へ赴くたびに目にして、「外科医の仕事にも通じる」と理解を深めた。

 長い歴史と確かな実績を持つ大組織の国循。組織が停滞するリスクも感じる。「設立の原点に立ち返り、組織としてさらなる高みを目指したい。院内外の新しい仲間をつくりながら取り組みます」

国立研究開発法人 国立循環器病研究センター病院
大阪府吹田市岸部新町6-1 ☎06-6170-1070(代表)
http://www.ncvc.go.jp/hospital/

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