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これまでの経験を病院運営に還元

これまでの経験を病院運営に還元


院長兼理事長(つじかわ・ともゆき)

1986年滋賀医科大学医学部卒業。
米テキサス大学留学、滋賀医科大学総合内科学講座教授、
国立病院機構滋賀病院(現:東近江総合医療センター)副院長などを経て、
2020年から現職。

 1939年の創立以降、甲賀市・湖南市における中核病院として地域を支えてきた公立甲賀病院。2020年4月に院長兼理事長となった辻川知之氏は、自身の経験を生かした院内教育、地域のニーズに応じた医療体制の整備など、さまざまな施策を打とうとしている。

医師としての礎は逆T字型の教育

 辻川氏は滋賀医科大学医学部卒業後、当時の第二内科(現:消化器・血液内科)に入局。そこで師事した細田四郎名誉教授が提唱していた「逆T字型教育」が医師人生に大きな影響を与えたという。

 「Tの文字を逆さにすると、真ん中の棒が上に突き出ます。これは自分の得意分野を表し、どんどん上に伸ばすもの。一方、底の横棒は幅広い知識などを表します。つまり、内科医として自分の専門分野で世界的なレベルを目指しつつ、幅広い知識を身に付けることも必要であると細田先生はおっしゃっていました。この教えは今でも心に残っています」

米国留学での経験

 米国テキサス大学への留学も人生の大きな分岐点になったと語る。

 現地の学会や研究会に参加した際、日本との違いに気づいた。基本的に日本では最後列の席から埋まるのに、米国では常に最前列から埋まっていく。しかも、発表者の話が終わる前から、質問したい人々の列ができるのだ。辻川氏は「米国の人は熱心だな」と思い、そのエピソードをある友人に話したところ、予想外の言葉が返ってきた。

 「彼らは熱心というよりも、純粋に話を聞いたり、質問したりしたいだけだと言うのです。この意見には目からうろこが落ちましたね。日本人は何かと遠慮しがちですが、それでは学びの機会を失ってしまいます。分からないことがあれば、その場で解消する。留学時代に得た大きな教訓であり、以降の私が常に心掛けているスタイルでもあります」

地域の中核病院として

 その後、滋賀医科大学総合内科学講座の教授などを経て、2020年4月から公立甲賀病院の院長に就任。当初から新型コロナウイルスへの対応を強いられ、難しい状況での船出になったが、将来の病院像は明確に描いている。
 「甲賀医療圏の中核病院として、地域のニーズに応え続ける必要があります。現状、当院では2次救急まで受け入れていますが、今後は常勤の救急医を加えて、さらに救急医療を充実させたい。また、地域内の医療サービスをシームレスにするため、当院が中心となって地域医療連携をさらに推進したいと考えています」

 また、公立甲賀病院では2020年2月に滋賀医科大学と地域医療教育研究拠点の協定を締結。「今後は医学生の教育にも力を入れていきたいと思います」

働きがいのある病院に

 院内の職員教育に関して、明確な指標がある。まずはあらゆる物事が〝患者ファースト〟であること。その次に、職員それぞれが自分にとってプラスになる仕事を持てること。この両輪で目指すのが「近畿で一番働きがいのある病院」だ。「日本一だと少々言い過ぎですし、滋賀県一では目標が小さい。そこでまずは〝近畿で一番〟を掲げました」と笑顔で語る。
 さらに自身の経験も踏まえ、院内の風土に新たなものを植え付けたいという。 「専門的な話を専門外の人に伝える場合、いかに分かりやすく説明できるか、いかに教育できるかが医師にとって重要な仕事です。一方、その話を聞く側の看護師や研修医などは、疑問があればすぐに質問することが重要です。このように、常に教え合い、常に質問できる雰囲気を少しずつ整えていきたいですね」

地方独立行政法人 公立甲賀病院
滋賀県甲賀市水口町松尾1256 ☎0748ー62ー0234(代表)
https://www.kohka-hp.or.jp/

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