九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

ここでよかった そう笑顔になれる病院に

ここでよかった そう笑顔になれる病院に


院長(なるせ・ともひこ)

1989年名古屋大学医学部卒業。市立四日市病院、名古屋大学医学部附属病院を経て、
1997年春日井市民病院入職、2019年から現職。

 中学高校時代は新聞づくりに熱中、将来は新聞記者にと夢見ていた時期も。「根が文系なんでしょうか。デジタル一辺倒にはなれない、アナログ人間です」と笑う新院長。施す医療にも「心」を添えたいと願う。

打ち砕かれた万能感 後悔をバネに歩む

 指導者に恵まれた医師人生。めぐり合わせというか、運がよかったんだと思います」と語る成瀬友彦院長。最初に赴任した市立四日市病院の腎臓内科では、指導が厳しいことで有名な医師に6年間、鍛えられた。

 大学に戻ってからは現・名古屋大学総長である松尾 清一氏に臨床指導を受ける。研究は、今は藤田医科大学病院長を務める湯澤由紀夫氏に学んだ。「2人からの教えは『頼まれた仕事は断るな』。断ったら二度と声はかけられないぞと。以来、信条としてやってきました。今の働き方改革にはそぐわないかもしれませんが…」  

 そして22年前、今の病院に引き連れてきてくれたのが、前院長の渡邊有三氏。「渡邊先生からは医学的な指導はもちろん、人生論、経営論、渡世術など、現在の自分に求められることをすべて教えていただきました。私は、この4人に育てられたようなものです」 

 ここに来たのは医師になって10年目のころ。何でもできると自信にあふれていた時期だ。ある日、一人の若手医師が体調不良を訴えて深夜、救急外来を受診してきた。一通り診察して帰した6時間後、自死した姿で見つかった。「あのとき、本当は気付いてほしかったんだと。なのに、何もできなかった」

 医師としての根底にあるのは、その死を無駄にすまいという思いだ。「検査データや電子カルテだけ見ていてはだめ。患者さんの顔色を見て、お腹を触って、しっかりと向き合うこと。それを実践してきましたし、若手に伝えてきたつもりです」

エネルギッシュな現場で

 28科552床の地域基幹病院。県内有数の実績を持つのが救急医療だ。2017年、2018年の年間救急車応需率は98%台。救急搬送受入数は1万台弱に上る。脳梗塞に対する血栓溶解療法は年間100件超。この9月には脳卒中ケアユニット(SCU)も開設した。

 当然、意欲ある研修医も集まってくる。「現在20人。1人で年間およそ500台を受け持つわけですから、自然と度胸と力がつきます」

 がん診療拠点病院としての役割も増している。最先端治療のみならず、緩和ケアにも注力。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)にも早くから取り組んできた経緯がある。

 病診連携も進んだ。10年前は20〜30%だった紹介率は80%に。逆紹介率は100%を達成。スタッフの尽力は当然ながら、市内の先生方が応援してくれていることが非常に大きいと実感しているという。「常々言っていますが、信頼を得るのは10年、失うのは10秒。適当なことをやったら一瞬で信用はなくなる。それは肝に銘じておきたいですね」

必要なのはバランス

 3年後には新棟を開設、ニーズの高い分野を拡充させる予定だ。1階は、内視鏡センター。強みの一つである領域の最先端治療に取り組む。2階はアレルギーセンター。年々増加している小児アレルギーに的を絞る予定だったが、皮膚科医からの進言で大人のアトピーなどにも対応することに。3階には、ハイブリッド手術室を設置。ダビンチも導入する。

 地域の中核病院に欠かせないのは「バランス」だと成瀬院長。救急は大事。でも慢性疾患も、緩和ケアも大事。一方で、例えば再生医療やゲノム医療などすべての機能を持つことはできない。「できる医療はしっかり担う。より高度な医療が必要なら、正確な方向性を示す。そんな道しるべのような存在でありたいと思っています」

春日井市民病院
愛知県春日井市鷹来町1−1−1 ☎0568−57−0057(代表) 
https://www.hospital.kasugai.aichi.jp/

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