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がん診療と人材育成に力を入れた地域完結型病院へ

がん診療と人材育成に力を入れた地域完結型病院へ

山鹿市民医療センター 別府 透 院長(べっぷ・とおる)
1983年熊本大学医学部卒業、1991年同大学大学院医学研究科卒業。同大学消化器外科学准教授、
同医学部附属病院(現:熊本大学病院)消化器癌集学的治療学特任教授、
山鹿市民医療センター副院長などを経て、2019年から現職。

 3年前に副院長として山鹿市民医療センターに赴任。今年4月に新院長となり、さらなる手腕が期待される。副院長時代から目指してきた、がん診療と人材教育に重点を置いた「地域完結型病院」の取り組みとは。

患者は自分の地域で医療を受けたい

 山鹿市民医療センターは、鹿本医療圏唯一の公的病院。救急告示病院、熊本県がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院、災害拠点病院などに指定され、地域の中で寄せられる期待は大きい。

 別府透院長は、着任早々の4月に「がん総合的診療チーム」を立ち上げ、一人ひとりの患者に合った横断的な治療を地域で受けられる体制の実現を目指す。

 3年前、副院長として赴任して驚いたのが、患者や地域の医師にこの病院でどのような治療ができるのかが十分に知られていなかったことだ。「できるのに知られていないのであれば、まずはそれを解決しようと思いました」

 そこで、1年目こそあいさつ程度だったものの、その後は地域の医療施設へ自ら足を運び、連携を呼びかけた。また、院内外で数多くの特別講演を実施。毎回、医療関係者40〜50人が参加している。

高度ながん診療を地域で

 「がん総合的診療チーム」では、多職種が集まり、部門からのレクチャーや症例検討会を開催。2018年から放射線科医が、2019年からは念願の病理医も参加となった。「日本肝胆膵外科学会の高度技能指導医、日本内視鏡外科学会消化器・一般外科領域の技術認定医が在籍しています。消化器がんの手術は、以前は年間30例だったのに対し、現在では100例にまで増えました」

 肝がんは、別府院長の専門。以前は肝がん治療はまったく行われていなかったが、「この3年で、肝がんの肝切除70例、ラジオ波・マイクロ波焼灼療法60例、冠動脈化学塞栓療法130例、分子標的治療20例を行いました」

 県内では数少ない、高度腹腔鏡下肝切除認可施設でもある。「肝がんでの治療には、がんの進行度、肝機能、年齢を含めた全身状態の三つの条件を考慮して、治療法を考えていきます。県北地域では唯一の緩和ケア病棟もある。最初から最後まで、患者さんを見守る病院でありたいと思っています」

 今後は、県北地域の病院と連携や役割分担を進め、国指定の「地域がん診療連携拠点病院」の認定を目指していく。

医師を育てることも医師の仕事である

 専門医育成や学生の実習は、積極的に受け入れている。この3年間で消化器外科専門医2人、消化器病、肝臓の専門医を各1人育成。学生と地域医療研修枠で計30人、看護師、リハビリ職、栄養士などを養成する実習は年間約200人にも及ぶ。

 「人に教えることは、自分も学ぶこと。自分の技術を磨くだけでなく、育てることも、医師の仕事だと思います」

 別府院長は、高校、大学とラグビーを続け、熊本大学ラグビー部の監督・部長も経験。それだけに、学生時代はスポーツ整形か外科か、進路に迷うことがあったという。「決め手になったのは、〝命を握るかどうか〟。今は外科離れと言われていますが、熱いハートを持った医師が育っている」と、現在、外科医を目指して学んでいる若手に期待を寄せる。

 病院が目指す方向は「喜びを最大にして、悲しみを最小にする病院」と語る別府院長。「山鹿市は、子どもたちが道ゆく人にあいさつをする土地柄です。病院でも、まずはあいさつを大切にする。患者さんと病気が治る喜びを共有し、病気が治らなくとも穏やかに過ごせるようサポートしていきたいと思います」

山鹿市民医療センター
熊本県山鹿市山鹿511 ☎0968―44―2185(代表)
http://yamaga-medical-center.jp/

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