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がん免疫療法の道を開いた ノーベル賞受賞の本庶氏招き〝感謝の会〟

がん免疫療法の道を開いた ノーベル賞受賞の本庶氏招き〝感謝の会〟

 2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞した、京都大学高等研究院副院長・特別教授の本庶佑氏を招いた「がん患者・家族・遺族、臨床研究者から偉業を称え、感謝を伝える会」が4月2日、京都市内で開かれた。認定NPO法人「」(理事長:中川和彦・近畿大学医学部腫瘍内科教授)などが共催。患者を中心に約200人が参加した。

患者本人とその家族の「未来を変えてくれた」

本庶佑氏に質問する時間も設けられた

 患者代表として登壇した清水公一さんは、非小細胞肺がんの治療で免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名:)が奏功したことを報告。

 「2012年、子どもが生まれて3カ月の時に肺がんが見つかった。手術を受けたが転移。その後、放射線治療や抗がん剤治療も受けた。2016年にニボルマブの投与を開始したところ奏功し、今も生きて、家族と一緒にいることができている。ニボルマブは自分と家族の未来を変えてくれた」と本庶氏に感謝を伝えた。

まだまだ未熟な段階 若手の研究参入に期待

 本庶氏はスピーチで「生命科学の分野はまだ分からないことの方が多い。1992年にPD―1を発見した際には、がんの治療につながるとは夢にも思わなかった」と振り返った。

 現状については「インフルエンザに感染して、くしゃみ程度で済む人もいれば、命を落とす人もいるように、人間の免疫の力は個々によって違う。免疫チェックポイント阻害薬が効いた患者さんは、もともとの免疫力が高かった可能性がある」。この治療法を確立するために「もっと多くの若い人がこの分野に参入し、研究を継続していくことが重要だ」と強調した。

 京都大学は2018年12月、本庶氏が寄付したノーベル賞の賞金を原資に「本庶佑有志基金」を設置。若手研究者の支援に取り組んでいる。「研究者や医療者の役割は、患者さん自身の治ろうとする力を支えること。今世紀中に、がんが死に至る病ではなくなることを期待している」と語った。

湧き水が小川になり30年で大河となった

がん患者を中心に約200人が来場

 中川理事長は、「本庶先生は免疫細胞にPD―1という物質を発見。これが、がん細胞に発現するPD―L1と結びつくと、本来がん細胞を攻撃するTリンパ球を不活化する。これを改善するのがPD―1抗体のニボルマブ」と、メカニズムを説明。「この研究は誰も見向きもしなかった岩からの湧水を、30年ほどかけて小川、さらには大河へと育てた素晴らしいものだ」と言葉に力を込めた。

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