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いま、できることは何か?持続可能な病院を目指す

いま、できることは何か?持続可能な病院を目指す


細川 等 院長(ほそかわ・ひとし)
1982年信州大学医学部卒業、香川医科大学(現:香川大学医学部)第一内科入局。
米タフツ大学ニューイングランドメディカルセンター留学、
国家公務員共済組合連合会高松病院などを経て、2013年から現職。


 時代が変わったから厳しい状況は仕方ない│。そんな言葉だけで片付けないために、細川等院長は「持続可能な病院」を目指して前を向く。「10年先を見すえた土台ができたと思う」。そう語る意味とは。

―近年の状況は。

 2013年に院長に就任して以降、環境は刻々と変化しています。例えば定年を迎えるなど、さまざまな事情で外科、整形外科、循環器内科の医師が常勤ではなくなりました。

 そうした中で、およそ2年をかけて準備した電子カルテシステムを2015年12月に導入しました。医師数が十分でない状況下にあって、ペーパーレス化による効率化は負担軽減に大きく貢献しています。

 また、2014年、2018年に病床を再編し、段階的に急性期病棟の縮小を進めました。現在、当院の全240床のうち、結核病棟20床を除く220床が障害病棟()です。

 当院はALS()をはじめ、神経・筋疾患の患者さんを数多く受け入れています。当院の限られたマンパワーで、長期入院の患者さんにより充実したケアを提供するにはどうしたらいいか。

 そう考え、2017年7月、療養介護サービスをスタートしました。医師、看護師だけでなく介護士が加わったことで、よりきめ細かなケア、要望への対応が可能となりました。人工呼吸器を装着した患者さんに本の読み聞かせのほか、街への外出や、イベントへの参加などを楽しんでもらう。多職種が関わるようになって、少しずつ、こうした試みも始められるようになりました。

 入院患者の約8割が難病や障害のある方です。地域医療構想に基づく機能分化がさけばれる中、当院が果たす役割は「」医療。その方針を示しました。

 自分たちの強みは。試行錯誤を経て、方向性を明確に打ち出せたことは大きな成果だと思います。5年後、10年後の当院のあり方につながる、土台が築かれつつあると感じています。


―新年度、どのような気持ちでスタートしましたか。

 2019年度のスローガンは「心豊か、そして持続可能な病院を目指す」。

 「持続可能」という言葉は、地球環境に対して使用されることが多い。このままだと社会が立ち行かなくなる。そうならないために、いま、できることを考えよう。そんな意味が込められていると思います。

 自分たちの医療をこれからも届けていくために、病院にとっても、持続可能性はキーワードです。同時に「心豊か」としたのは、経済的、物質的な側面だけではない「本当の豊かさ」を考えられる組織でありたいとイメージしたからです。

 実際、当院に入院中の患者さんの多くは制約のある生活を送っています。何を豊かだと感じるか、そのかたちはさまざま。私たち医療者は、それを常に意識して接することが大事だと思います。

 今年、四国こどもとおとなの医療センター(香川県善通寺市)から受け入れた患者さんを中心に、筋ジストロフィーの診療を開始しました。小児から成人まで幅広い年齢層の患者さんがお越しになり、必要に応じてレスパイト入院、長期入院に対応しています。

 医療体制の維持については、引き続き香川大学との連携を中心に、医師の確保に努めたいと思います。そして、これからはオールラウンドに診療できる力を備えた医師の育成が必要だろうと思います。

 「当院に来てください」と待っているばかりでなく、自分たちで育て、活躍してもらう。当院では地域の「家庭医」的な役割のほか、難病患者さんの全身管理などの領域の医療も身に付きます。私自身のスタイルも総合診療医に近く、できるだけ広く診ます。その経験を生かせたらと思います。


独立行政法人国立病院機構高松医療センター
高松市新田町乙8
☎087─841─2146(代表)
http://www.takamatsu-mc.jp/

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